アニメ
はじめに 数をこなせばよいというわけでもないと前置きして、それでも数多く見ることの報いとして、相応の出遭いがあることは強調したい。 都度、思いがけない出遭いを積み重ねることが生きるということなら、アニメを見る体験のほうがむしろ、生きることに…
はじめに コナン映画、おもしろすぎてひっくり返った。 検索から来られる方を想定して言うと、以下に記す感想は、もしかしたら求めている「感想」とは違うかもしれない。たとえば私は、黒ずくめの幹部の正体は実はコイツで~とか、実は原作の第〇〇話が伏線…
はじめに 「人間は虚構を信じられる唯一の生命体なんだよ」 『グリッドマンユニバース』が虚構賛歌であることは、おそらく誰の眼にも明らかだろう。うろ覚えだが、上記のようなセリフがあり、それが今作を象徴していたと思う。 が、私はこのセリフに少々面を…
はじめに 左右には元来、さまざまな意味が持たされてきた。 馴染み深いのは着物だろうか。着物はふつう、「右前」に着る。「左前」は死者の着方だからだ。 あるいはロベール・エルツ『右手の優越』を持ち出すまでもなく、聖なる右側、俗なる左側、という観念…
はじめに 私は運命って言葉が好き。 (『輪るピングドラム』24th stationより) たった一言がこんなにも重い。 「運命」を呪い、そして「運命」に呪われた「何者にもなれない」子どもたち。その「選ばれなかった」子どもたちが、ようやく「運命」を受け入れ…
はじめに 〈セカイ系〉っていう言葉がある。 定義としては、東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』にあるような「主人公と恋愛相手の小さく感情的な人間関係(「きみとぼく」)を、社会や国家のような中間項の描写を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終…
はじめに タイトル通り、完走したアニメ40本見た感想を記す(なお、『うたわれるもの』や『シャドウバース』など、部分的に見たものもあるが、前者は前作を忘れすぎていてもったいないと思って視聴をやめ、後者は諸事情によりピックアップして見た)。 ※感想…
※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編+後編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的には、劇場版…
はじめに 19-20話は、陽毬の過去編がメインの話となっている。 だが例のごとく、過去編というよりは、そこで語られている内実のほうが重要である。とくに、19-20話では「選ばれない」「きっと何者にもなれない」「氷の世界」「生存戦略」「運命の果実をいっ…
0.0. こどもブロイラーとは何か——設定上の回答—— こどもブロイラー(『輪るピングドラム』18th station, ピングループ・MBS, 2011年) 「ここはこどもブロイラーだよ」 「こどもブロイラー?」 「いらない子どもたちが集められる場所」 […] 「ここで僕らは…
※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的にはアニメシリーズ…
はじめに ——ピンドラをあらためて整理してみる—— ピンドラは桃果(モモカ)と眞悧(サネトシ)の代理戦争だ、とまとめてみることは、――とりわけ初見の人に——図式的な理解を与えるのには有効であろう。 つまり、桃果の意志を引き継いで「ピングドラム」を探そ…
はじめに——「嘘つき姫」—— 14-15話は、主に時籠ゆりの話になっている。 とりわけ15話は、ゆりの過去が明らかになるとともに、桃果のもつ「運命の乗り換え」の能力とその代償の説明となっているという点で重要である。 そのほかにも細かい伏線はあるのだが、…
はじめに. 「メリーさんの羊」を中心に…… 12~13話で起こった出来事をまとめるのは簡単だ。つまり、陽毬がまた倒れて、眞悧がそれを助けた。それだけだ。 しかしながら、12~13話には、起こった出来事としてまとめられないエッセンス——それも非常に重要なエ…
はじめに 今回はとりわけ真砂子の「愛」についてのセリフを検討したい。 というのは、それが真砂子の「愛」について語る数少ない機会だから、という理由もあるのだが、それよりも、『ピンドラ』が「愛」の物語であるからには、そのセリフは『ピンドラ』全体…
はじめに 前回、前々回とやや長い記事がつづいた。 そこで今回はやや短めに、ゆっくり10話だけで立ち止まってみることにする。 今回は「新世界より」と「アリアドネの糸」、この二つのモチーフを読み解く。
はじめに 「地下」という場所 前回から引き続き、『ピンドラ』と村上春樹(作品)との関連について、今回はとりわけ「地下」というテーマを中心に据え、考察する。 村上春樹は「地下」について以下のように述べている。 アンダーグラウンド (講談社文庫) 作…
1.0. 『ピンドラ』と村上春樹のつながり 本棚に並ぶ「カエルくん~を救う」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 陽毬「あの、『かえるくん、東京を救う』って本はどこにありますか?」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より)…
1.0. そらの孔分室 「そらの孔分室」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 「ようこそ、中央図書館そらの孔分室へ」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より) 水族館の長いエレベーターを降りると図書館であった。図書館の奥に…
1.0. 「氷の世界」 「氷の世界」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 『ピンドラ』第9駅のサブタイトルは「氷の世界」である。 しかしなぜ「氷の世界」なのだろうか? 第9駅は、べつに氷のある場所に行く話ではないし、「氷の世界」と…
1.0. どうしてカレーを食べるのか? 『ピンドラ』のカレー(『輪るピングドラム』第3駅、ピングループ・MBS、2011年) どうして『ピンドラ』ではカレーを食べるのだろう? 『ピンドラ』には、やたらとカレーが出てくる。第3話のサブタイトルは「そして私を華…
0.0. はじめに 本稿では、主に筆者による俺ガイル最終回考察に註釈を加えながら、これからの俺ガイル読解の指針を示してゆく。そのためまず筆者による俺ガイル最終回を(少なくとも「Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。」と「∞. おわりに ――これはおわりではない…
Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』は最終回を迎え、完結した。 当然、いくらかの疑問が残った。例えば、以下のような疑問だ。 奉仕部の「鍵」を渡した意味とは? 以前掛けていなかった眼鏡を掛けたことが意味す…
【前編】 Ⅴ. 雪ノ下雪乃との関係 ⅰ. 回りくどいやり方 ⅱ. 「そういう方法」 ⅲ. 建前 ⅳ. 「感情」は言わない ⅴ. 言葉への批判意識 ⅵ. 「言葉」という「殺害行為」 ⅶ. 「言葉」という「パルマコン」 Ⅵ. 【追記9/20】由比ヶ浜との場面と雪乃との場面の比較 ⅰ. …
Ⅰ. はじめに 「待たなくていい」と言われ、驚くような表情を見せる由比ヶ浜(『俺ガイル完』11話, 渡航, 小学館, やはりこの制作委員会はまちがっている。完, TBS, 2020) 率直に言って、11話も疑問の連続であった。 公園で八幡が「お前はそれをまたなくてい…
Ⅰ. はじめに 「……だって、あの子の願いは、ただの代償行為でしかないんだから」 (⑭287頁)*1 「代償行為」。その言葉に八幡は穿たれる。彼はそこで、また前と同じあやまちを、否、「今までよりなお悪い」あやまちを犯していると気づく*2。 では「代償行為」…
Ⅰ. はじめに ⅰ. あらすじ 雪乃に「由比ヶ浜さんのお願いを叶えてあげて」と言われた八幡は、由比ヶ浜に願い事を尋ねる。 雪乃の手伝い、小町のお祝いなど……、「したいこと」を挙げていった由比ヶ浜は最後に「ヒッキーのお願いを叶えること」を願う。 手始め…
Ⅰ. はじめに ⅰ. あらすじ 部長会としてプロムに協力するよう葉山に依頼するが断られる八幡。 仕方なく浜辺でポスター撮影をした八幡は、由比ヶ浜とともに製作したサイトを陽乃から雪ノ下母へリークしてもらうよう打診する。 情報が伝わり、雪ノ下母が学校へ…
Ⅰ. 「伝えるのが下手すぎる」 「大丈夫、ちゃんとわかってるから」 「……わかってないよ。あたし、ちゃんとしようと思ってる。これが終わったら……、ちゃんとするの。……だから、ゆきのんのお願いは叶わないから」 「……そう。私は、あなたのお願いが叶えばいい…
Ⅰ. はじめに ずるいのも、言い訳なのも、嘘なのも、本当はわかってるけど。 けど、もう少しだけ、この時間を続けさせてください。 ちゃんと終わらせるから。 もしかしたら、なんて願ったりしないから。 知らないうちに溢れてきそうな涙もちゃんと止めるから…