野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

2021年をふりかえって

現実と虚構、リアルとフィクション 「これはパイプではない」 René Magritte, La Trahison des images この一枚から始めよう。 《イメージの裏切り》と題されたルネ・マグリットのあまりにも有名なこの絵画は、なんとも逆説的な場をそこに展開している。 描…

「不在」/「現前」としての「雪」——『ルックバック』におけるマンガ表現と支持体をめぐる考察

藤野と京本が行く道に、風花が散る。 そこに描かれているのが「雪」だ、ということを、おそらく最初は誰も疑わない。2人は「雪」のなかを歩いているのだし、暖かく着込んだその姿は、私たちに寒さという感覚さえ伝えてくる。 しかしよく見てほしい。そこに映…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑨「嫌だわ、早くすり潰さないと」の意味【11話】

はじめに 今回はとりわけ真砂子の「愛」についてのセリフを検討したい。 というのは、それが真砂子の「愛」について語る数少ない機会だから、という理由もあるのだが、それよりも、『ピンドラ』が「愛」の物語であるからには、そのセリフは『ピンドラ』全体…

【俺ガイル結1】感想・考察「言葉」にならない「選択」

はじめに どうして『結』を読むのだろう。 『俺ガイル』は一度完結した物語だ。一度結ばれた物語をもう一度ほどいて結び直す、それにいったい何の意味があるのだろうか。 結衣が好きだから、「結衣エンド」が見たいから、「本編」に納得していないから……。そ…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑧「新世界より」/「アリアドネの糸」【10話】

はじめに 前回、前々回とやや長い記事がつづいた。 そこで今回はやや短めに、ゆっくり10話だけで立ち止まってみることにする。 今回は「新世界より」と「アリアドネの糸」、この二つのモチーフを読み解く。

【チェンソーマン 考察】食べるという盲目 ――『チェンソーマン』における「イメージ」と「まなざし」――

※以下、『チェンソーマン』最終話までの重大なネタバレをふくみます。ご注意ください。 はじめに マキマを食べるデンジ(藤本タツキ『チェンソーマン』11巻 第96話, 集英社, 2021年) 『チェンソーマン』は、主人公デンジが宿敵マキマを食して、その幕を閉じ…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑦物語にできることは ――「地下」・「状況」・「コミットメント」――【7~9話】

0.0. 「地下」という場所 前回から引き続き、『ピンドラ』と村上春樹(作品)との関連について、今回はとりわけ「地下」というテーマを中心に据え、考察する。 村上春樹は「地下」について以下のように述べている。 アンダーグラウンド (講談社文庫) 作者:村…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑥村上春樹の影響──『かえるくん、東京を救う』を中心に──【7~9話】

1.0. 『ピンドラ』と村上春樹のつながり 本棚に並ぶ「カエルくん~を救う」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 陽毬「あの、『かえるくん、東京を救う』って本はどこにありますか?」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より)…