アニメ-輪るピングドラム
はじめに 私は運命って言葉が好き。 (『輪るピングドラム』24th stationより) たった一言がこんなにも重い。 「運命」を呪い、そして「運命」に呪われた「何者にもなれない」子どもたち。その「選ばれなかった」子どもたちが、ようやく「運命」を受け入れ…
はじめに 〈セカイ系〉っていう言葉がある。 定義としては、東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』にあるような「主人公と恋愛相手の小さく感情的な人間関係(「きみとぼく」)を、社会や国家のような中間項の描写を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終…
※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編+後編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的には、劇場版…
はじめに 19-20話は、陽毬の過去編がメインの話となっている。 だが例のごとく、過去編というよりは、そこで語られている内実のほうが重要である。とくに、19-20話では「選ばれない」「きっと何者にもなれない」「氷の世界」「生存戦略」「運命の果実をいっ…
0.0. こどもブロイラーとは何か——設定上の回答—— こどもブロイラー(『輪るピングドラム』18th station, ピングループ・MBS, 2011年) 「ここはこどもブロイラーだよ」 「こどもブロイラー?」 「いらない子どもたちが集められる場所」 […] 「ここで僕らは…
※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的にはアニメシリーズ…
はじめに ——ピンドラをあらためて整理してみる—— ピンドラは桃果(モモカ)と眞悧(サネトシ)の代理戦争だ、とまとめてみることは、――とりわけ初見の人に——図式的な理解を与えるのには有効であろう。 つまり、桃果の意志を引き継いで「ピングドラム」を探そ…
はじめに——「嘘つき姫」—— 14-15話は、主に時籠ゆりの話になっている。 とりわけ15話は、ゆりの過去が明らかになるとともに、桃果のもつ「運命の乗り換え」の能力とその代償の説明となっているという点で重要である。 そのほかにも細かい伏線はあるのだが、…
はじめに. 「メリーさんの羊」を中心に…… 12~13話で起こった出来事をまとめるのは簡単だ。つまり、陽毬がまた倒れて、眞悧がそれを助けた。それだけだ。 しかしながら、12~13話には、起こった出来事としてまとめられないエッセンス——それも非常に重要なエ…
はじめに 今回はとりわけ真砂子の「愛」についてのセリフを検討したい。 というのは、それが真砂子の「愛」について語る数少ない機会だから、という理由もあるのだが、それよりも、『ピンドラ』が「愛」の物語であるからには、そのセリフは『ピンドラ』全体…
はじめに 前回、前々回とやや長い記事がつづいた。 そこで今回はやや短めに、ゆっくり10話だけで立ち止まってみることにする。 今回は「新世界より」と「アリアドネの糸」、この二つのモチーフを読み解く。
はじめに 「地下」という場所 前回から引き続き、『ピンドラ』と村上春樹(作品)との関連について、今回はとりわけ「地下」というテーマを中心に据え、考察する。 村上春樹は「地下」について以下のように述べている。 アンダーグラウンド (講談社文庫) 作…
1.0. 『ピンドラ』と村上春樹のつながり 本棚に並ぶ「カエルくん~を救う」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 陽毬「あの、『かえるくん、東京を救う』って本はどこにありますか?」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より)…
1.0. そらの孔分室 「そらの孔分室」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 「ようこそ、中央図書館そらの孔分室へ」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より) 水族館の長いエレベーターを降りると図書館であった。図書館の奥に…
1.0. 「氷の世界」 「氷の世界」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 『ピンドラ』第9駅のサブタイトルは「氷の世界」である。 しかしなぜ「氷の世界」なのだろうか? 第9駅は、べつに氷のある場所に行く話ではないし、「氷の世界」と…
1.0. どうしてカレーを食べるのか? 『ピンドラ』のカレー(『輪るピングドラム』第3駅、ピングループ・MBS、2011年) どうして『ピンドラ』ではカレーを食べるのだろう? 『ピンドラ』には、やたらとカレーが出てくる。第3話のサブタイトルは「そして私を華…
Ⅳ. 「蠍の火」とは何か ⅰ. 『銀河鉄道の夜』における「蠍の火」 Ⅴ. 「子供」は『銀河鉄道の夜』をどう解釈したのか ⅰ. 「愛の話」 ⅱ. 自己犠牲を伴うほどの「愛」は「さいわい」なのか? Ⅵ.「苹果」と「蠍の火」に残された解釈の余地 ⅰ. 『ピンドラ』という…
Ⅰ. はじめに 「僕は運命って言葉が嫌いだ」 (『輪るピングドラム』1st stationより) 「ゼロから見直す『輪るピングドラム』」は、『輪るピングドラム』をもう一度、ゼロから、じっくりと見て考察していこうという試みだ。したがって本企画では、「苹果(リ…