野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

『PSYCHO-PASS 3』7話 感想・考察 「神の名をみだりに唱えてはならない」

Ⅰ. はじめに 『PSYCHO-PASS3』も残り1話となりました。 7話では宗教特区の事件は解決しましたが、やはりまだビフロストや慎導篤志についてなど、謎は多く残っています。また7話は細かいネタが多く盛り込まれていたのが印象的でした。 そこで今回は、前回に引…

『PSYCHO-PASS 3』5・6話 感想・考察 ビフロストの椅子/エターナルホワイト/出島

Ⅰ. 残り2話 『PSYCHO-PASS3』も残り2話となりました。 ビフロストの正体、局長交代の真相、常守幽閉の謎など、回収すべき伏線はたくさんありますが、あと2話ですべて解決するのは困難でしょう。 おそらく制作側も、最初から「3」の後に劇場版や新しいテレビ…

『PSYCHO-PASS 3』考察 梓澤廣一と「地獄の季節」/「ラウンドロビン」=「パノプティコン」?<後編>

こちらは<後編>です。<前編>はこちら↓ www.zaikakotoo.com Ⅵ. 「ラウンドロビン」=「パノプティコン」は裏付けできるのか? ⅰ. 「地獄の季節」を起こしたのは厚生省? ⅱ. 「ビフロスト」がマネーゲームをする理由 ⅲ. 3話の謎のカットは経済省? ⅳ. ラウ…

『PSYCHO-PASS 3』考察 梓澤廣一と「地獄の季節」/「ラウンドロビン」=「パノプティコン」?<前編>

Ⅰ. 梓澤廣一のプロフィールについて 梓澤の経歴とその詳細 『PSYCHO-PASS3』第5話より©サイコパス製作委員会 『PSYCHO-PASS 3』第5話にて、梓澤廣一のプロフィールが明らかになりましたが、これが物議を醸しています。 というのは、彼が二係の元執行官であっ…

『PSYCHO-PASS 3』4話 感想・考察 仕組まれた「パンとサーカス」

Ⅰ. 「パンとサーカス」 『PSYCHO-PASS3』第4話より©サイコパス製作委員会 灼「古代ローマの詩人ユウェナリスは、権力者たちはパンとサーカスによってローマ市民を盲目的にしていると詩編で揶揄したそうです」 カリナ「いいじゃない、それで平和になるなら。…

『俺ガイル』14巻 感想・考察 だから青春は「本物」を求め続ける

「自意識の化物」がたどり着く先は、人間への不信、言葉への批判、そして本物の希求です。 疑り深い人は言葉の裏を読みたくなる、そうすると、人の心理が透けてくる。すると、もううわべだけの馴れ合いには気持ち悪さしか感じなくなる。だから本物の、もっと…

“PSYCHO-PASS 3” episode3 Review&Analysis “Herakles and the Sirens”

Ⅰ. “Herakles and the Sirens” “PSYCHO-PASS 3” episode3 ©サイコパス製作委員会 “Herakles and the Sirens.” That was the title of episode3. In Greek mythology, “Herakles” strangled a lion with his bare hands and crushed a crab with his feet, so…

『PSYCHO-PASS 3』3話 感想・考察「ヘラクレスとセイレーン」の行方

Ⅰ. 「ヘラクレスとセイレーン」 『PSYCHO-PASS3』第3話より©サイコパス製作委員会 「ヘラクレスとセイレーン」、それが第3話のタイトルでした。 「ヘラクレス」の方は、ギリシア神話では獅子を絞め殺したり、蟹を踏んでつぶしたりしているので、マッチョなイ…

“PSYCHO-PASS 3” episode2 Review&Analysis “Will Teumesessian Sacrifices be rewarded?”

I. “Teumesessian Sacrifices” from “PSYCHO-PASS 3” episode2 ©サイコパス製作委員会 The Greek mythology ーa child being sacrificed every month to calm the “Teumesessian fox” that eats peopleー is where the title “Teumesessian Sacrifices” deri…

“PSYCHO-PASS 3” episode1 Review&Analysis “Can Laelaps capture the Teumessian fox?"

Ⅰ. "Laelaps' calling" "Laelaps' Calling" by "PSYCHO-PASS 3" ep1©サイコパス製作委員会 ⅰ. "Laelaps" and "the Teumessian fox." What does the subtitle “Laelaps' calling” mean? The subtitle “Laelaps' calling” comes from the Greek mythology of a…

『俺ガイル』8巻 解説・考察「こうして、比企谷八幡はまちがえる」

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (8) (ガガガ文庫) Ⅰ. 「まちがい」 自分が何かまちがえたのではないかという、その疑念だけが残った。 (渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑧』p.334より) 『俺ガイル』8巻のキーワードは「まちがい…

『PSYCHO-PASS 3』2話 感想・考察 「テウメソスの生贄」は報われるのか?

Ⅰ. 「テウメソスの生贄」 「テウメソスの生贄」 『PSYCHO-PASS 3』第2話より©サイコパス製作委員会 ギリシャ神話において、「テウメソスの生贄」は「狐」のために捧げられました。 テウメソスの街で人々を喰らう「狐」の気を静めるため、毎月一人、子どもが…

『俺ガイル』7巻 考察・解説 「そうして、彼ら彼女らは嘘をつく。」

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ガガガ文庫 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている Ⅰ. 「だから、誰もが嘘を吐く。」 大事だから、失いたくないから。 隠して、装って。 だからこそ、きっと失ってしまう。 そして、失ってから嘆くのだ。失うこ…

『PSYCHO-PASS 3』1話 感想・考察 「ライラプス」はテウメーッソスの狐を捕らえられるか?

Ⅰ. 「ライラプス」 「ライラプスの召命」『PSYCHO-PASS 3』第1話より ©サイコパス製作委員会 ⅰ. ライラプスの犬とテウメーッソスの狐 「ライラプス」とは、ギリシア神話に登場する犬の名前です。どんな獲物も逃がさないと運命づけられたその犬は、ある時、テ…

<お知らせ>と<おまけ>

<お知らせ> 私事で多忙のため、9月と10月のブログ更新をお休みさせていただきます。 いつもお読みになってくださっている方々にはたいへん申し訳ありません。 ブログ更新の再開は11月の初旬を見込んでおります。 何かありましたら、Twitterの方でお知らせ…

『天気の子』は「幼稚」な物語なのか?④(完) なぜ物語には<子供らしさ>が描かれるのか?

Ⅴ. 『天気の子』は「幼稚」な物語なのか? ⅰ. まとめ ⅱ. <子供らしさ>とは何か ⅲ. なぜ物語には<子供らしさ>が描かれるのか? ⅳ. 『天気の子』は<超道徳>を要求しただろうか? ⅴ. 選択肢の「軽さ」 ⅵ. 誰かにとっての<超道徳> Ⅵ. おわりに ⅰ. 『まん…

『天気の子』は「幼稚」な物語なのか? ③「大丈夫」は無責任な言葉か?

Ⅳ. ③「大丈夫」は無責任な言葉か? ⅰ. 「大丈夫」は無責任な言葉か? ⅱ. 「悩むよりも『自分たちは次の世界に行くよ』って軽やかに飛びこえる若者たちの姿」 ⅲ. ラストシーンの苦悩と『大丈夫』という解決策 ⅳ. 『大丈夫』に込められた意味とは? ⅴ. 「僕た…

『天気の子』は「幼稚」な物語なのか? ②「世界なんて、最初から狂ってた」は免罪符か?

※この記事は①の続きです。①は↓ www.zaikakotoo.com Ⅲ. ②「世界なんて、最初から狂ってた」は免罪符か? ⅰ.「最大多数の最大幸福」か「一人の生命か」 ⅱ. 帆高は「世界なんてさ――どうせもともと狂ってんだから」を免罪符にしているか? ⅲ. 「決断・選択」を子…

『天気の子』は「幼稚」な物語なのか? ①「陽菜」を選ぶという選択は「幼稚」か?

『天気の子』は「幼稚」な物語なのでしょうか?本記事では①「陽菜」を選ぶという選択は「幼稚」か?②「世界なんて最初から狂ってた」は免罪符か?③「大丈夫」は無責任か?という3つの疑問から『天気の子』について考えていきたいと思います。

このアニメPVがすばらしい2019夏

一作品としてのアニメPV 遅くなってしまいましたが…… アニメPVそれ自体を評価しよう ちなみに前クールは…… 2019年夏シーズンのPV評価手順と基準 手順 基準(すべて10段階評価) このアニメPVがすばらしい2019夏 第4位 TVアニメ『とある科学の一方通行』番宣P…

僕らが普段つかっている「言葉」の無力さ、あるいは有力さについて

僕が見る「赤」は君の見る「青」? 逆転クオリア 違っているのは「色」だけじゃない……? 「痛み」は「言葉」で伝わらない? 箱の中のカブトムシ 「差延」 「言葉」の原罪 「言葉」では表しきれない関係性 「言葉」では表しきれない「人間」 "ほんとうの痛み"…

直井文人は「神」である。 ―Angel Beats! への答え④―

11. 直井文人は「神」である。 12. 「理不尽な人生」 13. 救済 14. 死の秘匿性 15. 『Angel Beats!』 への答え 16. 神への「賭け」 17. 「それでも町は廻っている」 11. 直井文人は「神」である。 こうして彼は三度「神」となる。 最初に書いたように、彼も…

直井文人は「神」である。 ―Angel Beats! への答え③―

7. 神の人間化 8. 「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになるのですか」 9. 人間の神化 10. 元型 (Archetyp) 7. 神の人間化 こうしてヤハウェは「人間化」することになる。 しかし彼も神だ。ただの人間にはなろうとしない。 彼がなった人間は、人間は人…

直井文人は「神」である。 ―Angel Beats! への答え②―

4. 『ヨブへの答え』 5. 神 (ヤハウェ) の無意識 6. 神をも超えるヨブ 7. 神の人間化 4. 『ヨブへの答え』 カール・グスタフ・ユング (1875-1961) はスイスの心理学者・精神科医で、「ユング心理学」の創始者として有名だ。 ユングは著書『ヨブへの答え』で…

直井文人は「神」である。 ―Angel Beats! への答え①―

1. 「僕が神だ」 2. 神は平等で、愛に満ちている? 3. 神は理不尽である 1. 「僕が神だ」 人は死ぬとどこへ行くのだろうか。 天国に行くのか、地獄に行くのか、はたまた死んだら何もないのか。古今東西、死後の世界はいろいろな作品で描かれてきた。そんな死…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』②「蠍の火」とは何か【1~3話】

①↓より続き www.zaikakotoo.com Ⅳ. 「蠍の火」とは何か ⅰ. 『銀河鉄道の夜』における「蠍の火」 Ⅴ. 「子供」は『銀河鉄道の夜』をどう解釈したのか ⅰ. 「愛の話」 ⅱ. 自己犠牲を伴うほどの「愛」は「幸い」なのか? Ⅵ.「苹果」と「蠍の火」に残された解釈の…

ゼロから見直す『輪るピングドラム』①「苹果」とは何か【1~3話】

Ⅰ. はじめに 「僕は運命って言葉が嫌いだ」 (『輪るピングドラム』1st stationより) 運命って何でしょう? 高校生のとき、「職業召命観」というものを習いました。「職業召命観」というのは、ルターが宗教改革とともに唱えたもので、簡単に言うと、職業は…

【さらざんまい最終話】解釈・考察 「欲望の河」と「未来」――欲望をつなぐものだけが未来を手にできる――【後編】

<前編>からの続きです! www.zaikakotoo.com Q4. 「未来」が漏洩したことには何の意味があるの? A4. 「つながり」はしんどいけど、それでもなお「つながり」を選び取ったことを強調している a. 「つながり」ってしんどい b. 「サッカー」というモチーフの…

【さらざんまい最終話】解釈・考察 「絶望」と「独善的な欲望」と「つながり」――黒ケッピとは何か・カワウソとは何か―― 【前編】

Ⅰ. はじめに 『さらざんまい』が終わりました。 しかし、(少なからず同じような気持ちの方がいらっしゃると思うのですが)私はまだいろいろと消化しきれていません。 そこで今回は、最終話についてじっくりと解釈した上で、改めて『さらざんまい』という物…

【さらざんまい第十皿】感想・考察 ――星の王子さま・「欲望か愛か」・「つながり」とは何か―― <後編>

< ↓ 前編 ↓ > <前編>から日が開いてしまって申し訳ないです。 その間に見返して気づいたことも含めて、改めて十皿の感想・考察、やっていきたいと思います。 // Ⅴ. 真武の「欲望の対象」は何だったのか ⅰ. 「欲望の対象」=「ツナガリ」 ⅱ. 「ハコハコ♪…