野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

【さらざんまい最終話】解釈・考察 「欲望の河」と「未来」――欲望をつなぐものだけが未来を手にできる――【後編】

<前編>からの続きです! www.zaikakotoo.com Q4. 「未来」が漏洩したことには何の意味があるの? A4. 「つながり」はしんどいけど、それでもなお「つながり」を選び取ったことを強調している a. 「つながり」ってしんどい b. 「サッカー」というモチーフの…

【さらざんまい最終話】解釈・考察 「絶望」と「独善的な欲望」と「つながり」――黒ケッピとは何か・カワウソとは何か―― 【前編】

Ⅰ. はじめに 『さらざんまい』が終わりました。 しかし、(少なからず同じような気持ちの方がいらっしゃると思うのですが)私はまだいろいろと消化しきれていません。 そこで今回は、最終話についてじっくりと解釈した上で、改めて『さらざんまい』という物…

【さらざんまい第十皿】感想・考察 ――星の王子さま・「欲望か愛か」・「つながり」とは何か―― <後編>

< ↓ 前編 ↓ > <前編>から日が開いてしまって申し訳ないです。 その間に見返して気づいたことも含めて、改めて十皿の感想・考察、やっていきたいと思います。 // Ⅴ. 真武の「欲望の対象」は何だったのか ⅰ. 「欲望の対象」=「ツナガリ」 ⅱ. 「ハコハコ♪…

【さらざんまい第十皿】感想・考察 ――玲央と真武・Twitter消失の意味・カワウソとは何か―― <前編>

Ⅰ. はじめに 真武は結局、尻子玉を抜かれて「縁の外」に行ってしまったのでしょうか? もし真武が「縁の外」に行ってしまっていたとしたら、普通に死んだだけ(?)の玲央とは離れ離れになってしまわないでしょうか? 普段はあまりこういう試みはしないので…

【さらざんまい考察】㋐の意味について【随時更新】

Ⅰ. ㋐=「対象a」に近い意味合い 『さらざんまい』第一皿より(©イクニラッパー/シリコマンダーズ) ㋐って何なんでしょう? 私は今のところ、㋐はフランスの精神分析家ジャック=ラカンが用いた「対象a(たいしょうアー)」(※ "a"はフランス語で「アー」と読…

【さらざんまい考察】時系列のまとめと疑問点【随時更新】

Ⅰ. 時系列まとめ ⅰ. 結論 さらざんまい時系列まとめver2.1 結論から先に言うと、時系列は上の画像のようにまとめられます。 ただし、これはあくまで可能性が一番高いものを、一番一貫性のある形にまとめたものに過ぎません。 あくまで仮定の表であることに十…

「つながり」の話 (3.11を起点に)~『さらざんまい』のメッセージを受け取るために~ <後編>

<前編> www.zaikakotoo.com <後編>では、「つながり」の切断、そしてつながりたいけどつながりたくないというアンヴィバレントな欲望について確認し、『さらざんまい』ではどのような欲望が描かれるのかという問題の核心に迫っていきます。 Ⅶ. つながり…

「つながり」の話 (3.11を起点に)~『さらざんまい』のメッセージを受け取るために~ <前編>

Ⅰ. 「つながりたい」という欲望 ――震災を経て―― 『さらざんまい』の監督である幾原邦彦氏(以下「幾原監督」)は、『読売新聞』の記事で以下のように述べています。 「阪神大震災と東日本大震災、その後も続いた地域災害を経て、僕らは損なわれる物質の無常…

さらざんまい考察④村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』との類似性

Ⅰ. はじめに 『さらざんまい』と村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(以下『多崎つくる』と表記する)って似てるなと思いました。 どういうところが似ているのかというと、 ヒロインの名前(「吾妻サラ」∽「木本沙羅」) 登場人物たち…

芥川龍之介『河童』読解・解説

Ⅰ. はじめに ⅰ. 「狂人」の罵言 ――「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、わいせつな、ずうずうしい、うぬ惚れきった、残酷な、虫の善い動物なんだろう。出て行け! この悪党めが!」 (芥川龍之介『河童・或阿呆の一生』(新潮文庫, 1968) p6…

さらざんまい考察番外編「命の分岐のライン」について

はじめに これは私が見聞きした「存在できる命と存在できない命の分岐のライン」という幾原監督の言葉だと思われる文言に関して考えたことをまとめたものです。 つまり、まず初めに承知しておいていただきたいのは、この記事が伝聞をもとにして書かれた不確…

さらざんまい考察③「吾妻橋」から読み解く『さらざんまい』――吾妻橋と吾妻サラ――

本記事では吾妻サラについての情報を整理した上で、前回まとめた吾妻橋に関する情報を利用して、吾妻橋と吾妻サラの関連について考えていきます。

さらざんまい考察②「吾妻橋」から読み解く『さらざんまい』――吾妻橋の歴史と由来・「巴」に関する試論――

この記事では、作品のキープレイスの一つとなっている「吾妻橋」から、『さらざんまい』について考察していきます。 概略を述べると、まず初めに現実の吾妻橋に関する事実をまとめ、そこから「吾妻橋」に関連すると考えられる「吾妻サラ」について考察してい…

さらざんまい考察①行為としての<さらざんまい>――精神分析・解脱・ユング的世界観――

Ⅰ. はじめに この記事では、一連の行為としての「さらざんまい」について考察していきます。 一連の行為としての「さらざんまい」とは、ここでは一稀・悠・燕太の三人がカッパとなって、カパゾンビの尻子玉を抜き、それをケッピに送信して欲望を消化するまで…

俺ガイル 第1章(1~6巻) 考察 ――ようやく彼ら彼女らはお互いを「知る」―― <後編>

<前編>においては、「知る」ということについて、特に八幡と由比ヶ浜の関係から、彼らが互いをどのように「知って」いったのかを見てきた。 <後編>においては、さらに八幡と雪乃の関係から「知る」ということを見つめ、『俺ガイル』第1章で「知る」とい…

俺ガイル 第1章(1~6巻) 考察 ――ようやく彼ら彼女らはお互いを「知る」――<前編>

『俺ガイル』第1章(1~6巻)((公式で割り振られた区分ではない。本考察(および本ブログ)では、便宜上1~6巻を第1章と呼ぶ。))は、彼ら彼女らがお互いを「知り」、スタートラインに立つまでの物語だ。 そこで重要となっているのは「知る」ということだ。 …

このアニメPVがすばらしい2019春

アニメPVは面白さの指標になるか? アニメPVはそのアニメの面白さの指標になるでしょうか? PVが面白ければ面白い方がそのアニメは面白く、PVが面白くなければ面白くないほどそのアニメは面白くないということがあったりしないでしょうか……? そんなことを考…

チェンソーマン 1巻 感想 考察「爽快!シュールギャグスプラッタ開幕――‼」

飛び散る血飛沫、容赦ない斬殺、「胸ぇ揉んでみてえ」と言う主人公ーー。 これホントにジャンプで大丈夫? ってことを全部やっちゃう、それがこの漫画『チェンソーマン』です。 そんな『チェンソーマン』の作者は、あの『ファイアパンチ』の藤本タツキ先生。…

『空の境界』考察「ハーゲンダッツ」という道具立てのうまさ

幹也「ストロベリー。ハーゲンダッツだよ。ほら、この前買ったやつは食べなかっただろう」 式 「イチゴがオレのイメージなのか?」 幹也「革ジャンとか。それにイチゴってバラ科の植物なんだよ。意外だろう。イチゴはかわいいなんてみんな思ってるけど、バラ…

『響け!ユーフォニアム』考察②「藤棚」から読む高坂麗奈

なぜ高坂麗奈の背景には「藤棚」が使われるのでしょう? 「藤棚」とは、高坂麗奈が「新世界より」を吹いたあの場所、「"like" じゃなくて"love" のほうね」と言ったあの場所のことです。

ファイアパンチ考察 ――嘘と演技、なりたい自分――

グロい?意味不明?予測不能な『ファイアパンチ』を考察。その主題とは……?キーワードは「嘘」と「演技」、それから「なりたい自分」

このアニメPVがすばらしい2019冬

「このアニメPVがすごい2019冬」と題して、今期(2019冬)のアニメPVを評価してランキング形式にしました。

2018年をふりかえって

2018年をふりかえって 考察(批評)とはなにか ――ダリフラ以前―― これからの活動――ダリフラ以降―― 2019年もよろしくお願いします 2018年をふりかえって 今年もおしまいですので、何かご挨拶をと思い、書き始めた次第です。 このブログは、ダリフラとともに始…

カフカ『変身』解釈 ――「虫」とは何か?――

『変身』解説ーーカフカから読むカフカーー 『変身』という作品をご存知でしょうか? ある朝目覚めると、自分が「虫」に変身してしまっていたという、フランツ・カフカのショッキングな小説です。 外国文学としてはかなり有名で、名作との呼び声も高い『変身…

僕らが普段つかっている「言葉」の無力さ、あるいは有力さについて

僕が「赤」だと思っているその色は、実は「青」? 問題意識はどこにある? 箱の中のカブトムシ 「差延」 「言葉」では表しきれない関係 「言葉」では表しきれない感情 「言葉」では表しきれない「人間」 僕らが普段つかっている「言葉」の無力さ、あるいは有…

俺ガイル考察 5巻でカマクラがネコリンガルに残した言葉

今回は俺ガイル5巻でカマクラの残した言葉はいったい何だったのかを考察していきたいと思います。 本編と直接関わりないからか、自分の見た範囲ではこれに関してあまり有効な考察はされていませんでしたが、この5章は短編としてうまく出来ていますし、ところ…

フランス現代思想入門の入門

フランス現代思想入門の入門です。 サルトル、レヴィ=ストロース、フーコーを取り上げ、ものすごく簡単に、フランクに彼らの思想を見ていきたいと思います。

『ブルーピリオド』紹介 「ピカソの絵の良さがわかんない」ヤンキー、藝大を目指す

「ピカソの絵の良さがわかんない」、そんなDQN高校生が美大の最高峰である藝大を目指すマンガ『ブルーピリオド』。 今回はそんな『ブルーピリオド』の魅力を3つのポイントから紹介します。 絵が好きな人はもちろん、絵の価値ってよくわからないという人にも…

『響け!ユーフォニアム』考察①カラスノエンドウの多義性

今回は1期第2話の「豆笛の場面」について考察したいと思います。 この「豆笛の場面」、ただストーリーを追うだけでも面白いのですが、読み込んでいくと、とても巧いつくりになっていることがわかります。早速以下で見きましょう。

『潜熱』紹介 「彼の闇すら、すべて愛しい。」

「潜熱」、それは内部にひそんだ熱。奥底ではふつふつと湧き上がっていても、表には出てこない熱。 この漫画の主人公は19歳の女子大生。そして恋をする相手は中年のヤクザだ。幸薄げで、物静かな彼女は、それでも心の奥で、熱い恋の炎を灯している。 今回は…