文学フリマ東京38
タイトルの通り、2024年5月19日(日)東京流通センターで開催される文学フリマ東京38に参加します。
文学フリマとは、小説や詩歌、評論・研究作品の同人誌即売会です。コミケの文字媒体版、みたいな感じでイメージすると分かりやすいかもしれません。要するに、文字で書かれた作品全般の同人誌即売会ということですね。
年々規模が大きくなっており、今回から入場料が1000円かかりますので、ご注意ください(18歳以下&16:30 以降は入場無料)。詳しくは公式HP「一般入場のご案内」をご覧ください。
その文学フリマ東京38にて、「才華」名義で書いたものが、(新作と旧作どちらもふくめて)大きく分けて6作品ほど販売されているので、それぞれについて以下、簡単にお知らせします。
いずれにしても力を込めた作品ですので、ご興味があればぜひお手に取っていただきたいです。
- 文学フリマ東京38
- 1. 応答(新刊)第一展示場 | H-10
- 2. 『もにも~ど2』(新刊)第一展示場 | J-34
- 3. Async Voice『ボーカロイド文化の現在地』(既刊)第一展示場 | L-25
- 4. 大阪大学感傷マゾ研究会「青春ヘラver.8「シティダーク/アンダーグランウンドレトロ」」(既刊)第一展示場 | K-24
- 5. レプリカ編集委員会『レプリカ』vol.1&vol.2(既刊)第一展示場 | K-18
- 6. レプリカ編集委員会『Malus——『輪るピングドラム考察集』(既刊)第一展示場 | K-18
- おわりに
1. 応答(新刊)第一展示場 | H-10
【文学フリマ東京38 出店!】
— 大玉代助 (@00tma) 2024年4月20日
📍ブース:H-10
🗓5/19(日) 12:00〜開催
🏢東京流通センター第一展示場
📕イベント詳細→ https://t.co/YKPJiHzblE https://t.co/8ghbeLvXia #文学フリマ東京
『応答』に収録されている批評は物語評論家の「さやわか論」、「九段理江論」、「世界への緒言」となります
ひとつ目は、批評誌『応答』です。こちらは、ふだん読書会などをいっしょに開催している「言葉に引き裂かれて」の会、通称コトヒキ会の大玉代助さん、三澤蟻さんといっしょに編んだ同人誌です。
こちらは、その名の通り、各々がいま一番「応答」したいものに「応答」した論考が寄せられています。その結果収録されたのが、大玉さんの「さやわか論」、三澤さんの「九段理江論」、そして私の「世界への緒言」です。
私はそこで、「世界は「ひとつ」(で)しかない」——時間、イメージ、言葉、フィクションなど無い——」という文章を寄稿しました。詳細は以下です。
#文学フリマ東京38 で頒布する『応答』に、「世界は「ひとつ」(で)しかない」という文章を寄稿しました。時間やイメージ、言葉などが、主体からまったく切り離されて対象として在る、と考えている人が多いけれど、そんなことなくないですか? という話です。 https://t.co/UWdtALQ358
— 才華 (@zaikakotoo) 2024年4月22日
これは私がふだん見ている「世界」をインストールしてもらうための文章で、これを読むことで、——そうした「世界」を受け入れるにせよ受け入れないにせよ——、各人がそれぞれ「ひとつ」(で)しかない、けれど「ひとつ」しかない生でほんとうに何をしたいか、考えてもらいたい、行動してもらいたいと思っています。
また、上記三つの論攷のほか、座談会「だから、何?」も収録されています。
5/19文学フリマ東京38 H-10出店する批評誌『応答』で、大玉代助・三澤蟻・才華による座談会「だから、何?」が収録されています。プロ・アマ問わず、多くの文章が発表されては、結局、それって何の意味があるの?という疑問に対して、私たちはとりあえず書き手自ら問い直す、「応答」するための場です pic.twitter.com/FDeNo8c13i
— 大玉代助 (@00tma) 2024年4月22日
こちらには、コトヒキ会の面々が見た近年の同人誌文化の動向と、それから、それぞれの原稿について、それぞれ自分の言葉で語るということが成されています。
そのなかでとりわけ意識されているのは、タイトルの通り「だから、何?」という話です。文章を書いて、読んで、「だから、何?」と往々にしてなるわけですが、そう聞かれたとして、どのような「応答」ができるか、それぞれが考えています。
こちらは同人誌のコンセプトに併せ、「応答」し得る射程のことを考え、会場限定販売とする予定です。ぜひ会場で、お手に取ってみてください。
2. 『もにも~ど2』(新刊)第一展示場 | J-34
【新刊告知】#文学フリマ東京 J-34 にて
— あにもに@文フリ東京J-34 (@animmony) 2024年5月11日
シャフト批評合同誌
『もにも〜ど2』を頒布します!
アニメ会社シャフトに関する評論同人誌、
総勢29人=イラスト7本、評論22本を掲載。
388ページの超絶ボリュームでお送りします。
アニメ論や歴史研究、近年の潮流まで完全網羅。
よろしくお願いします! pic.twitter.com/2ivKNBLIC3
あにもにさんが主宰しているシャフト批評合同誌『もにも~ど』の第2弾に寄稿しました。
私が寄せたのは、『川越ボーイズ・シング』というアニメの第9話、シャフトと縁の深いクリエイター・武内宣之が絵コンテ・演出・原画を務めた回についての批評文です。
拙稿は、自分がアニメ批評において理想とするようなパッケージ、つまり、画面にまつわる表象分析を含みつつ、それらを地道に読み解いてゆくなかで、しかし最後には批評的ジャンプも試みるような構造となっており、その意味で、アニメ批評のひとつの指標となるようなものを見せられるよう心掛けました。
また最後には、アニメーションを批評することに伴う根本的なジレンマ、つまり、アニメーションの快楽それ自体は、けっして批評において「再現」することはできないというジレンマについて、じゃあ批評よりアニメ見ればよくない? とならないためにはどうすればよいだろう? という問いに対して、ささやかな提言を施しています。
要するに、アニメーション批評入門的なパッケージを、実物として、パフォーマティヴ(実践的)に見せたような原稿になっているので、これからアニメ批評を書いてみたいという方にもぜひ読んでいただきたいような記事に仕上がっていると自負します。
もちろん、ほかにもたくさんの方が寄稿されていて、一読者としても拝読するのを心待ちにしています。皆さんもぜひ、お手に取ってみてください。
3. Async Voice『ボーカロイド文化の現在地』(既刊)第一展示場 | L-25
こちらは、highlandさん主催の「ボカロ」に関する評論同人誌です。
私はひろく「ボカロ曲」と呼ばれるもののMV(ミュージック・ビデオ)に関する論攷を寄稿しました。
簡単に言うと、少し前に流行った「一枚絵MV」、つまり、主にキャラクターの一枚絵と歌詞がビュンビュン動く感じのMVに関する考察になります。いつくらいからそのようなMVが流行り出したのか、そのような「キャラクター」はいったい「何者」なのか……そういったことについて、いわゆるキャラクター論を踏まえて考察しています。
詳細は以下です。
ご紹介いただきましたので自分でも内容について少し補足します。拙稿では、最近のボカロMVによく見られるキャラクターを「MVキャラ」と称し、このキャラクターの来歴を整理しつつ、MVキャラについて大塚英志や伊藤剛、岩下朋世、さやわか、村上裕一らのキャラクター論を参照しながら論じています。 https://t.co/3BBpEth4kB
— 才華 (@zaikakotoo) 2023年11月9日
こちらの同人誌はほかにも豪華執筆陣の方々の論攷も編まれているので、ぜひチェックしてみてください。booth からも通販で購入可能なので、こちらも併せて見てみてくださいね。
4. 大阪大学感傷マゾ研究会「青春ヘラver.8「シティダーク/アンダーグランウンドレトロ」」(既刊)第一展示場 | K-24
大阪大学感傷マゾ研究会が発行する会誌『青春ヘラ』の第8号に、三秋縋に関するエッセイが載っています。
三秋縋は、率直に言って、「賞味期限」があるような作品を書くと思うのですが、私はそれを、多感な時期に読んでおり、いろいろな偶然が重なって、才華という人間をつくる軸になっているので、そのことに関して綴ったエッセイになっています。
この文章が、どれだけ効果的か、というか、どのような見地をもたらすか、というのは人それぞれだとは思うのですが、私にとっては、否応なしに世界がそのようになってしまった、ということの、ごくごく個人的な、ひとつの証言だと思ってください。
ただ、個人的だけれど、普遍的な問題に接続しうる見方を、ある意味では呈示していると思って書いています。だから私の書いたこの文章は、無批判に自己同一化するのではなく、批判的に、なにか考える糧としてほしいです。
詳細は以下です。
『青春ヘラvol.8』に寄稿しました。私は、三秋縋に関して、フィクションとのある種の距離のとり方について書きました。 https://t.co/URhNZnv4Jv
— 才華 (@zaikakotoo) 2023年10月27日
こちらも booth で通販中なので、併せてご検討ください。
5. レプリカ編集委員会『レプリカ』vol.1&vol.2(既刊)第一展示場 | K-18
俺ガイル同人誌『レプリカ』vol.1&vol.2も販売します。こちらは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』に関する考察集(vol.1は二次小説あり)です。
私は、『レプリカ』vol.2には二つの文章を寄稿していますが、とりわけ一つ目の原稿は、オーソドックスな作品読解として、読みやすいと思うので、文学作品などを読むときに、どういうことに注目すれば「読む」ことができるか知りたい方にぴったりな論攷になっていると思います。
また、そのあとのある種の飛躍も、批評的なジャンプとして、それなりに書けていると思うので、作品を素朴に読解しながら、「批評」ってどうすれば書けるのか、と悩んでいる人のヒントにもなるかもしれません。
以下に詳細を貼ります。
一つ目の原稿は、『俺ガイル』14巻における「鍵」や「熱」といったモチーフを読解する、ある種オーソドックスな「考察」です。小説を「読む」とはどういうことかを実践しつつ、後半にかけて、そこから地続きに、しかしジャンプして批評的営為を試みます。https://t.co/rH8tPF56vR
— 才華 (@zaikakotoo) 2023年12月26日
もちろん、私以外の原稿もとても魅力的なので、『俺ガイル』にご興味がある方はぜひお手に取ってみてください。
こちらもメロンブックスで通販中です。併せてご検討ください。
6. レプリカ編集委員会『Malus——『輪るピングドラム考察集』(既刊)第一展示場 | K-18
『ピンドラ』考察集を今年も持っていきます。こちらは俺ガイル同人誌といっしょのブース(第一展示場 | K-18)で販売しておりますのでご注意ください。
このブログでも何度も宣伝している、というか、このブログ発の本なのでもはや説明不要かもしれませんが、かなり長いスパンで、いまでも通販で購入してくださる方がいらっしゃいますし、たくさんの人にネットの記事もお読みいただき、たいへんありがたいかぎりです。
それだけ『ピンドラ』という作品が、たくさんの人と「愛」を、それから「罪」と「罰」とを「分け合っている」ということであると思います。改めて作品の力を感じるとともに、作品を考える一材料として(記す必要はないかもしれませんが、私が書いたことはけっして「答え」ではありません)、私のピンドラ「考察」を読んでいただけたら嬉しいです。
こちらもメロンブックス通販で通販中ですし、本編の考察に関してはすべて当ブログで見られるので(「あとがき」のみ同人誌の書き下ろし)、お読みいただければ幸甚です。
おわりに
すっかり長くなってしまいましたが以上です。
こう書くと、意外と同人活動も頑張っていたのだなという気になります……。ただそれも、お読みいただける皆さまからの「応答」がなければ成り立たなかったことだと思うので、ほんとうに有難く思います。
もろもろ私事で忙しいのですが、私も会場に行きますので、もしご用の方がいらっしゃいましたら、TwitterにDMをください(いくつかのブースで店番をする予定なので、そのときどきで居る場所をお教えします)。
どうぞよろしくお願いいたします。