ノミネート
胃下舌ミィ「みっちゃんの皮膚」
上田さかひら「言葉のないところ」
鳥井泳「美しいもの」
綿本おふとん「創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊」
岡田索雲「ある人」
壽久「君がいないと毎日は生きれない」
小野寺こころ「保健の授業聞いてなかった奴」
大雪晟「天を夢見て」
枝田『羅生門』
白井もも吉「うさななじみ」(『ガンガンJOKER』2024年10月号)
うさぎの幼なじみ、うさななじみ pic.twitter.com/GpNZEeM6an
— 白井もも吉 (@s_momokichi) 2024年11月15日
るぅ1mm「ベラドンナの恋人」
岩矢滉一朗『野球部の西くん』
原川ユキ「恋の焦点」
ながしまひろみ「ペーパードライバーズ」
戸桝有馬『螺鈿の楼閣』
ベスト5
5. 横谷加奈子「富めるひと」
「遠い日の陽」の横谷加奈子の新作。
宝くじで3億円当たり、お金の価値を見失っていた主人公が、借金を抱えた森谷くんとの交流のなかで、思索を巡らせる。
モノトーンみたいなキャラ造形と特徴的なアミカケが、ずっと薄暗い影をマンガに落とし続ける。
このマンガ的特徴こそが、果たしてその実変わりがない物語の在りようを示しているように思われた。
4. 山本登「写して」
「ザファーストピッチセレモニーライフ」などで話題となった山本登の新作。
卒業写真を撮る、というきわめてオリジナルなシーンを題材に、相当長いページを割いた意欲作。
等身の高い骨格やときおり挟まれる劇画風の作風が思わず笑いを誘う。
レフ板に増幅されたであろう光の「バシッ」という描き文字が爽快。
3. 江河川「反骨」
まずは暴力。そう思い知らされる作品。
ふつうに、生きているときに世界を変えているのは圧倒的に暴力のほうであり、マンガ本でミサイルは防げないし、アニメはお前を救わない。
いや違う。マンガ本でミサイルを防ぎ、アニメがお前を救うと信じさせるのがフィクションの仕事ではなかったか?
「反骨」は、その力強い精神でもって命を抱きしめているぞ。
お前は?
2. 司馬莞爾「鉄穴流し」
ちょっとシャフトかもって思うときと、ちょっといにおかもって思うときが交互にやってくる。
いや、そうだとして、このマンガのオリジナリティは毀損することはあるまい。
「鉄穴流し」という「砂金収集法」を思春期の少女と結びつけたアイデア、心意気やよし。
1. 徳留圭秋「少年の日のカブトムシ」
まずその筆致に圧倒された。
とりわけプールのなかに皆が沈む描写などは、少年少女の世界感覚の描写としてきわめて巧みだと感じた。水の中の水のようにして、われわれはかつて在ったはずであり、水の中の水のように、他者と在りえたはずなのに。
もちろん、そこはかとなく漂うのは性の臭いであり、圧倒的に気持ち悪くもあり、トラウマチックでもあるが、そうでなければ「少年の日のカブトムシ」はあり得ない。
昆虫との戯れこそ、少年であり、少女である証なのだから。
2024年のベストマンガ↓
昨年のベストマンガ↓
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