野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

【俺ガイル完 1話】考察・解説「諦める」ことの意味

Ⅰ. 雪解け 俺ガイル完OPには、結末が「雪」ではなく「雨」であることを望む趣旨の詩がある。 これはもちろん、物理的な雪解けも意味しているが、同時に雪乃の問題がほどけてゆくこと、ひいては奉仕部の問題が解消していくことを暗示している。 だからOP映像…

【俺ガイル11巻】考察・解説「だから違和感について考え続ける」

Ⅰ. はじめに ⅰ. 「違和感」を考え続ける物語 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫) 「あー、なんか違和感っていうか」 言葉にしてみると、それは案外すっきり腑に落ちた。 ずっとついて回っていたものだ。 ふとした瞬間に意識してしまう…

【俺ガイル10巻】考察・解説 「そうして、道化は見抜かれる」

本記事では俺ガイル10巻について考察・解説を行う。 俺ガイル10巻については、主に以下のような点が論点になると考えられる。 「手記」とは何なのか?何のためにあるのか? 陽乃の「見つけてくれることを、かな」というセリフはどういう意味か? なぜ葉山隼…

【チェンソーマン考察】『1984』(ジョージ・オーウェル)との関連について

本記事では、『チェンソーマン』において銃の悪魔が出現した「1984年」という年(この年号が浮かび上がった経緯については後述)が意図的なものであると仮定した上で、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』と『チェンソーマン』との関連を考える。 具体的に…

【石浜真史OP・ED考察 】「不気味なもの」(フロイト)と「異質なもの」(バタイユ)の視点から

Ⅰ. 石浜真史と「不気味なもの/異質なもの」 ⅰ. 「不気味/異質」? さっそくだが何枚か画像を見ていただきたい。 石浜OPにおける「不気味/異質」なカット(上:『PSYCHO-PASS 2』(サイコパス製作委員会,2014)OPより、中:『PERSONA5 the Animation』(PERSONA…

『俺ガイル』9巻 考察・解説 だから「本物」を求め続ける

Ⅰ. 「欲しいものがあったから」 欲しいものがあったから。 たぶん、昔からそれだけが欲しくてそれ以外はいらなくて、それ以外のものを憎んですらいた。だけど一向に手に入らないから、そんあものは存在しないとそう思っていた。*1 つまるところ9巻は、八幡が…

『俺ガイル』8巻 考察・解説「こうして、比企谷八幡はまちがえる」

Ⅰ. 「まちがい」 自分が何かまちがえたのではないかという、その疑念だけが残った。 (渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑧』p.334より) 『俺ガイル』8巻のキーワードは「まちがい」だ。 7巻では「大事だから、失いたくないから」、だから「変…

『俺ガイル』7巻 考察・解説 「そうして、彼ら彼女らは嘘をつく。」

Ⅰ. 「だから、誰もが嘘を吐く。」 大事だから、失いたくないから。 隠して、装って。 だからこそ、きっと失ってしまう。 そして、失ってから嘆くのだ。失うことがわかっているなら手にしない方がマシだったと。手放して死ぬほど悔やむくらいなら諦めたほうが…