野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

2020-03-31から1日間の記事一覧

『俺ガイル』9巻 考察・解説 だから「本物」を求め続ける

Ⅰ. 「欲しいものがあったから」 欲しいものがあったから。 たぶん、昔からそれだけが欲しくてそれ以外はいらなくて、それ以外のものを憎んですらいた。だけど一向に手に入らないから、そんあものは存在しないとそう思っていた。*1 つまるところ9巻は、八幡が…

『俺ガイル』8巻 考察・解説「こうして、比企谷八幡はまちがえる」

Ⅰ. 「まちがい」 自分が何かまちがえたのではないかという、その疑念だけが残った。 (渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑧』p.334より) 『俺ガイル』8巻のキーワードは「まちがい」だ。 7巻では「大事だから、失いたくないから」、だから「変…

『俺ガイル』7巻 考察・解説 「そうして、彼ら彼女らは嘘をつく。」

Ⅰ. 「だから、誰もが嘘を吐く。」 大事だから、失いたくないから。 隠して、装って。 だからこそ、きっと失ってしまう。 そして、失ってから嘆くのだ。失うことがわかっているなら手にしない方がマシだったと。手放して死ぬほど悔やむくらいなら諦めたほうが…

【俺ガイル考察】ようやく彼ら彼女らはお互いを「知る」【1~6巻まとめ】<後編>

<前編はこちら ↓> <前編>では、「知る」ということについて、特に八幡と由比ヶ浜の関係から、彼らが互いをどのように「知って」いったのかを見てきた。 <後編>においては、さらに八幡と雪乃の関係から「知る」ということを見つめ、『俺ガイル』第1章で…

【俺ガイル考察】ようやく彼ら彼女らはお互いを「知る」【1~6巻まとめ】<前編>

Ⅰ. はじめに ⅰ. 彼ら彼女らがお互いを「知り」、スタートラインに立つまでの物語 俺も、雪ノ下も、お互いのことを知らなかった。 何を持って、知ると呼ぶべきか。理解していなかった。 ただお互いの在り方だけを見ていればそれで分かったのにな。大切なもの…

【俺ガイル考察】5巻でカマクラがネコリンガルに残した言葉とは?

5巻でカマクラがネコリンガルに残した言葉とは? 『俺ガイル』5巻5章「ふと比企谷小町は兄離れする日を思う。」は、以下のような幕切れとなっています。 携帯を充電しようと充電器を探していると、カマクラがみーと鳴いた。 立ち上げたままのネコリンガルが…