※こちらはアニメ第3期放映時にリアルタイムで作成した記事です。その後の展開や明らかになった設定と食い違う点や推測を多分に含みます。記事を鵜呑みにせず、最新の情報をご確認ください。非公開にすることも考えましたが、いまだ活かせる情報もあるように思われたのでアーカイブとして残します。ご承知おきくださいませ。
こちらは<後編>です。<前編>はこちら↓
Ⅵ. 「ラウンドロビン」=「パノプティコン」は裏付けできるのか?
<前編>で見てきたことから、梓澤と「地獄の季節」との関連も考えると、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」というのはもっともらしい説であるように思えます。
では、もしそう仮定したとして、その仮説を裏付ける根拠はあるのでしょうか? あるいはそうだとするとどのようなことに説明がつけられるでしょうか?
「ビフロスト」=「パノプティコン」とすると、例えば以下のようなことに説明をつけることができます。
- シビュラに気づかれてはいけない理由やシビュラに内緒で利益を上げている理由がある程度説明できる
- ビフロストが日本全体の経済事情などを把握している描写や、コングレスマンがお金のやりとりをしているらしいことに説明がつく
- 3話で一瞬映った謎の俯瞰カットに説明が付く
- ラウンドロビン起動時の形に説明がつく
以下では、上のような「ビフロスト」=「パノプティコン」とすると説明できる事柄について解説しながら、「パノプティコン」はどのようにして「ビフロスト」となっていったのかを順を追って考えていきます。
ⅰ. 「地獄の季節」を起こしたのは厚生省?
そもそも「パノプティコン」は厚生省と経済省の権力闘争の一環として生まれたものです。
当時(結局今もですが)日本を実質的に支配していたのは厚生省のシビュラシステムでした。「パノプティコン」は、そんなシビュラシステムに代わるシステムとして経済省から発案されたものでした。
しかし「パノプティコン」は、いきなり発生し出した謎の「不具合」によって中止を余儀なくされました。とすれば当然、その不自然な「不具合」はシビュラシステムの独裁を守りたい厚生省の仕業なのではないか?という疑念がわいてきます。
実際これは2期で「陰謀論」として扱われていますが、真相はいまだに分かっていません(鹿矛囲はこれをシビュラの仕業だと考え「色を問う」ことにしたわけですが)。
いずれにせよ、「パノプティコン」はシビュラの対抗馬として登場しながらも、一度は頓挫した計画です。
したがって、経済省はそれ以降表立って「パノプティコン」と同様のシステムを開発することはできなくなったと考えられます。
しかし経済省は水面下で、「パノプティコン」の計画を続けていたのではないでしょうか?そしてその完成形が「ラウンドロビン」なのではないでしょうか?
そしてもちろん、「ラウンドロビン」の内実はできるだけシビュラに内密にしなければなりません。というのは、またシビュラの対抗馬となるようなシステムが登場すれば、「地獄の季節」のように厚生省につぶされてしまうからです。
そのような理由から、「ビフロスト」たちが裏で「ラウンドロビン」を介して行っていることは内密にされているのでしょう。
ⅱ. 「ビフロスト」がマネーゲームをする理由
また、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」とすると、彼らがマネーゲームらしきことを行っている理由が推測できます。
考えてみれば、「パノプティコン」のように完全に交通や銀行を制御できるようなシステムが完成しているなら、わざわざマネーゲームをするような描写はいりません。
ではなぜ彼らはマネーゲームを楽しんでいるのでしょうか?
思うにそれは、「ラウンドロビン」が「パノプティコン」を「銀行」分野に導入したものだからではないでしょうか?
前編で書いたように、「パノプティコン」は「交通と銀行を管制する国民支援システム」として開発されたものでした。
そして上述の通り、「交通分野」での「パノプティコン」導入は「地獄の季節」によって失敗しました。しかしながら、「銀行」分野への導入には失敗してはいません。
したがって経済省は「パノプティコン」を「銀行」分野に導入しようと目論んだ、その完成形が「ラウンドロビン」なのではないでしょうか?
そうだとすれば、ビフロストのコングレスマンがマネーゲームを行っているのも納得できます。すなわち、彼らは裏からお金を操作することで、「銀行」分野を通して経済の面から社会をコントロールしていると考えられるのです。
コングレスマンたちはそれにゲーム性を与えてはいますが、実際には経済界を裏からコントロールしている、そう考えれば、彼らが「マネーゲーム」のようにお金を操作しなければいけないのも納得できます。
ⅲ. 3話の謎のカットは経済省?
さらに、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」とすると、「パノプティコン」を開発した経済省が「ラウンドロビン」および「ビフロスト」をつくったことになりますから、「ビフロスト」や「ラウンドロビン」は経済省の管轄ということになります。
そしてそうすると、3話で一瞬はさまれた謎のカット(下画像)に説明がつきます。
3話の冒頭はビフロストのコングレスマンたちの会話の場面から始まるのですが、その会話が終わった後、急に謎のカット(上画像)が差し込まれます。
カットがはさまれるタイミングがビフロストの場面の直後なので、上の画像は「ビフロスト」の所在を表しているのではないかと考えられます。
画像中央付近にあるのは、1期や2期などから「厚生省ノナタワー」であることがわかりますから、この画像の景色はおそらく今で言う「霞が関」、つまり省庁が集う場所なのではないかと推測されます。
そしてそうすると、このカットがはさまれている理由が説明できます。
つまり、このカットはビフロストがある経済省の場所を俯瞰で見ているカットだと説明できるのです。
ⅳ. ラウンドロビンの形=パノプティコンの監視塔?
また、ラウンドロビンの「形」もパノプティコンと関係していると考えられます。
ラウンドロビン起動時に、画像左のような「形」が現れるのですが、これはパノプティコンの監視塔を模したものなのではないでしょうか?
一時期この「形」は、パズルのピースのようにシビュラのマークに当てはまるということも話題になりましたが、それはラウンドロビンがシビュラを「監視」していることを意味していると考えることもできます。
見た目の話なので特別論証することはできませんが、パノプティコンにちなんでこの「形」にしたというのはあり得ない話ではないように思えます。
以上のように、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」とすると、謎だった様々なことに一応説明をつけることはできます。
しかし、まだこれでは「ラウンドロビン」=「パノプティコン」と言えるに足る十分な理由とは言えないように思えます。
そこで次に「ラウンドロビン」=「パノプティコン」と仮定したときに、彼らが特に3期の物語で何をしようとしているのか、何を目的としているのかを考えてみましょう。
Ⅶ. 「ラウンドロビン」はシビュラに取って代わろうとしている?
ⅰ. ラウンドロビンはシビュラに取って代わるシステム?
もし「ラウンドロビン」が「パノプティコン」の完成形だったとしたら、それを完成させた経済省は何を企んでいるのでしょう?
まず単純に考えれば、経済省は「ラウンドロビン」をシビュラシステムに代わるシステムにしようとしていると考えられます。
端的に言えば、それは復讐です。つまり、かつて厚生省が「地獄の季節」でシビュラの支配を守るために「パノプティコン」をつぶしたように、今度は経済省がシビュラシステムをつぶしてその代わりに「ラウンドロビン」で日本を支配しようとしているのではないでしょうか?
ⅱ. ビフロストが今やっているのはシビュラ転覆の下準備か?
ただしもちろん、そうするのは簡単ではないでしょう。シビュラシステムはこれまで何十年もその支配を保ってきているわけですから、それこそ「地獄の季節」並みの規模の事故がシビュラに起こらないと、その支配はゆるがないでしょう。
ただ、3期でビフロストたちがやっていることは、シビュラシステムの支配を覆すための下準備のようにも見えます。
例えば、前回でビフロストはマカリナ(代理人格AI)の存在を民衆とシビュラに認めさせたわけですが、それも考えようによってはシビュラの支配を覆す第一歩だと思われます。
前回の考察で、代理人格AIを使えば移民の虐殺など、大規模の悪用も考えられると書きましたが、もしシビュラの支配を覆そうとするなら、本当にそれくらいのことを起こさないといけないかもしれません。
「シビュラシステム」の正体をばらす、という手ももちろんありますが、それは民衆が受け入れる可能性があるので、それだけでは十分ではないでしょう。もっと確実にシビュラの信用が失われるようなことが行われる必要があります。
ⅲ. 「ピースブレイカー」もビフロストの仕業……?
しかしシビュラシステムは劇場版でも描かれているように世界中に「輸出」もされており、相当な影響力と支配力を持っています。
そうなると、考えれば考えるほどシビュラの支配を覆すということがいかに困難かが分かってきます。
しかしもし世界規模でもシビュラを転覆させられる可能性があるのだとしたら、劇場版で言及されていた「ピースブレイカー」もビフロストが仕組んだことなのではないか?と疑いたくなります。
これは正直あまり根拠はないのですが、「ピースブレイカー」の伏線がいつか回収されるのは確かでしょう。
ⅳ. 梓澤もシビュラに復讐しようとしているのか……?
そしてもし経済省が「ラウンドロビン」でシビュラに取って代わろうとしているのなら、梓澤の経歴の謎もまた少し解けます。
その謎というのは、なぜ梓澤は「地獄の季節」より後に日空航空に入社したのか?という謎です。
もし梓澤が「地獄の季節」で起こった事故に関与しているのなら、「地獄の季節」以降に日空航空に入社したというプロフィールは何の意味もないように思えます。
しかし、もしその時点で梓澤が「インスペクター」になっているのなら、彼はむしろ問題を修復するために派遣されたのではないか?と推測することができます。
ⅴ. 「地獄の季節」はどのように仕組まれたのか?
梓澤が「地獄の季節」に関与しているとするならば、それは彼が執行官の時期のことなのですが、彼は自発的に「地獄の季節」に加担したのではなく、シビュラシステムに利用されたのではないでしょうか?
そもそも厚生省が「地獄の季節」を仕組んだとしたなら、それをどうやって仕組んだかも問題になってきます。
当然のことながら、常人が「地獄の季節」のようなことを起こそうとすれば、その人の色相(サイコパス値)は無事では済まないでしょう。
そこで手っ取り早いのは、犯罪係数がもともと規定値をオーバーしている人間たちに犯罪を起こしてもらうという方法です。
そのような方法で、厚生省は執行官たちをうまく利用して「地獄の季節」を起こさせたのではないでしょうか?
もしそうだとするならば、梓澤は厚生省に使い捨ての駒にされたことになります。
施設にいれられた梓澤はそのことに気づき、自分を陥れた復讐として、今度は経済省の一員としてシビュラを陥れようとしている。そう考えると、一応筋は通ります。
そして彼は最初に厚生省が事故を仕組んだ「日空航空」に入社し、厚生省ないし自分自身が仕組んだ罠を解除したのではないでしょうか?
以上のように、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」とすると、一応ビフロストの目的も筋立てて説明することはできます。
もちろん十分と言えるほどの説得力はまだないのですが、今は以上のような説明が一番納得できる気がします。
Ⅷ. おわりに
今回は梓澤廣一の経歴から、「ラウンドロビン」=「パノプティコン」という仮説について考えてみました。
実は「ラウンドロビン」=「パノプティコン」というのは3期開始当初からまことしやかに噂されていたことではあったのですが、あまり説得力のある材料がなかったのであえて取り上げることはしませんでした。
しかしここにきて、梓澤廣一の経歴から「パノプティコン」へのつながりが見えたので、上のように説明を試みた次第です。
やはり説得力をもって説明するのはかなり難しいように思えますし、突っ込みどころも多々あるのですが、一応それなりの筋は通っていなくはないような気はします……。
とにかく、少しまとまったことを書いてみないことには何も検証できないと思うので、書けたこと自体はよかったと思います。
自分自身、これについては引き続き考えていきたいですし、これを読まれている方にも何か資するところがあれば幸いです。
本日放送の6話も、監督のTwitterによれば何やらいろいろと動くみたいなので見逃せません。楽しみにしています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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