※こちらはアニメ第3期放映時にリアルタイムで作成した記事です。その後の展開や明らかになった設定と食い違う点や推測を多分に含みます。記事を鵜呑みにせず、最新の情報をご確認ください。非公開にすることも考えましたが、いまだ活かせる情報もあるように思われたのでアーカイブとして残します。ご承知おきくださいませ。
Ⅰ. 残り2話
『PSYCHO-PASS3』も残り2話となりました。
ビフロストの正体、局長交代の真相、常守幽閉の謎など、回収すべき伏線はたくさんありますが、あと2話ですべて解決するのは困難でしょう。
おそらく制作側も、最初から「3」の後に劇場版や新しいテレビシリーズを続けるつもりでこのような展開にしているのでしょう。
したがって今回の記事では長い目で見たときに重要になりそうなポイントを確認しつつ、それについて少し考察を加えていくスタイルにしようと思います。
ついでに今回は先週書けなかった5話の内容も6話と一緒に盛り込むことにします。
Ⅱ. 「ビフロストの椅子」
ⅰ. 「ビフロスト」にもシビュラ同様「成員」が存在する?
トーリ「母さんのゲームはどう?」
西園寺「順調よ。ビフロストの椅子が空く日は近い」
(『PSYCHO-PASS3』第6話より)
この発言はかなり大きな手掛かりです。
「ビフロストの椅子」という言葉からは、ビフロストがシビュラが免罪体質者たちの脳で構成されているのと同じように複数の「成員」から構成されていることが推測されます。
それがどの程度シビュラと似ているのかはわかりませんが、「コングレスマン」というのはあくまで「ビフロスト」への前段階、下位に属する存在なのでしょう。
文脈から察するに、「インスペクター」が成果を上げると「コングレスマン」に、「コングレスマン」がゲームで優秀な成績を収めると「ビフロスト」の一員になれるのでしょう。
ⅱ. 「ビフロスト」の何がシビュラに知られてはいけないのか?
「ビフロスト」がシビュラと同じように成員から成り立っているとすると、前回の記事で述べたように、ますます「ビフロスト」あるいは「ラウンドロビン」というのは「パノプティコン」の後身のように思えてきます。*1
ただそうすると、3話で「私たちの存在をシビュラに知らせるきっかけになりかねない」とコングレスマンがシビュラへの認知を警戒していたことに疑問が残ります。
しかし梓澤のプロフィールに「所属 : ビフロスト」とあったことから、「ビフロスト」は一応公共の機関ではあるようです。
ではいったい「ビフロスト」の何がシビュラに知られてはいけないのでしょうか?
ⅲ. システムの内実だけが秘密か……?
前回もこのことには触れたのですが、あれから少し考えを改めました。
というのは、「ビフロスト」がシビュラと同じく「成員」から成り立っていて、かつ公にも認められている機関ならば、シビュラに全く知られずに交通や銀行をコントロールするのは難しいだろうと思われるからです。
したがって今は「ビフロスト」のシステムの内実(仕組み)だけがシビュラに知られていないのではないかと考えています。
より具体的に言うと、「ビフロスト」が交通や銀行を監視していることはシビュラも承知しているが、「コングレスマン」たちがゲームをしていることやゲームに勝ったものが「ビフロスト」の一員になれるという仕組みは知らないということです。
「ビフロスト」の謎も「3」のテレビシリーズで完全に解決するのは難しそうですが、あと2話で手掛かりもあると思うので注意してみたいところです。
Ⅲ. 「エターナルホワイト」
ⅰ. 「他人をユーストレス欠乏症に誘導できるシステム」
6話で重要だったポイントとしてもう一つ「エターナルホワイト」が挙げられます。
<ヘブンズリープ>の教祖代行であるトーリ・アッシェンバッハは「エターナルホワイト」=「他人をユーストレス欠乏症に誘導できるシステムをつくった」ということでした。
この「ユーストレス欠乏症に誘導できるシステム」というのがポイントなのですが、そもそも「ユーストレス欠乏症」とは何だったでしょう?
ⅱ. 「ユーストレス欠乏症」とは?
「ユーストレス欠乏症」とは、生きていくのに必要なストレスさえ感じなくなって、「無感覚状態」に陥るというある種の病気でした。
ストレスというと悪いイメージを持ちがちですが、適度な運動が健康を維持するように、適度なストレスはむしろ肉体や精神を健康に保ちます。
そのような「ユーストレス(Eustress)」=「快ストレス」さえも感じられなくなってしまうのが「ユーストレス欠乏症」です。
ではなぜ「ユーストレス欠乏症」の患者は「ユーストレス」を感じなくなってしまったのでしょうか?
それは過剰なメンタルケアの影響でした。『PSYCHO-PASS』の世界では心をケアするためにメンタルケアを受けるわけですが、過剰すぎるメンタルケアはそのような良いストレス=ユーストレスさえも感じない体にしてしまうのでした。
ⅲ. これまでのシリーズでも登場してきた「ユーストレス欠乏症」
「ユーストレス欠乏症」はこれまでのシリーズでもたびたび登場してきました。
例えば1期では王陵離華子の父親である王陵牢一が「ユーストレス欠乏症」患者として登場し、2期では鹿矛囲桐斗が「ユーストレス欠乏症」の患者を治療することができる存在として描かれていました。
トーリ・アッシェンバッハはいわば鹿矛囲桐斗の逆バージョンです。トーリは鹿矛囲とは反対に、他人をユーストレス欠乏症に誘導することでその人の色相をクリアにしています。
しかしながら、6話でも描かれていたように、ユーストレス欠乏症に誘導した結果、その人は王陵牢一のように植物状態になってしまう可能性があるわけです。
しかし6話でわかったのは、ユーストレス欠乏症に誘導した後でも植物状態にならない可能性があるということです。
ⅳ. ユーストレス欠乏症になっても植物状態にならない可能性?
炯たちが侵入した先で「エターナルホワイト」の治療を受けた人物たちのカルテを見つけたわけですが、その中には爆弾テロの犯人のカルテもありました。
カルテを見ると、彼らはいっとき急激にサイコパス数値が下がっているのですが、これは「エターナルホワイト」の治療を受けたということを意味するのでしょう。
そうすると、彼らは「エターナルホワイト」の治療を受け、ユーストレス欠乏症に誘導された後に爆弾テロ犯になっていることがわかります。
したがって、ここにユーストレス欠乏症に誘導した後でも植物人間にならずに動ける人間という存在が想定できます。
これは明確なシビュラシステムの穴だと言えます。というのはこの方法を使えば犯罪を犯しても色相がクリアな状態に戻れるからです。
ⅴ. ユーストレス欠乏症の謎
ここらへんのメカニズムは謎なので今後解明されることを期待しています。
ただしここでは爆弾テロ犯が「エターナルホワイト」の治療を受けたことを前提として考えましたが、実はそこが少し怪しいです。
したがって爆弾テロ犯たちが完全にユーストレス欠乏症になったのかは怪しいのですが、もしそうだったとすると上記のようなことが導けます。
「ユーストレス欠乏症」はシリーズを通して重要かつ謎な病だと思うので、ここらへんの謎も今後明らかになるといいなと思っています。
Ⅳ. 「出島」
ⅰ. 出島は何年前からある?
5話で明らかになった「出島」の存在もかなり気になってのでまとめておきます。
そもそも出島って何年前からあるのでしょう?
元出島の難民弁護官であったテレーザ陵駕のプロフィールを見ると、彼女は2081年2月に国籍を取得し、2081年4月から弁護官を務めていることがわかります。
そこから察するに、2080年ごろにはもう出島は存在したと考えられます。シビュラシステムの確立と鎖国政策の完了が2060年頃なので、その少し後からは出島はすでに存在したと考えられます。
まあ普通に考えて鎖国しても難民は日本に渡ってくる可能性はあるわけですし、それらに対処する場として「出島」は鎖国完了当初からあったとしても不自然ではないように思えます。
いずれにせよ、出島はかなり前からあるものだと言えるでしょう。
ⅱ. 色相が濁っていても「出島」にいれば許される?
では出島というのは実際どのような役割を担っているのでしょう?
そのヒントとなる場面が6話にありました。その場面というのは、アウマ商人が庇っていた入国者たち(売春婦たち)を出島に移してメンタルケアを受けさせようと灼や霜月たちが相談している場面です。
その場面から、入国者たちは本来「潜在犯候補」であり「施設行き」になるはずなのにもかかわらず、出島に移せば強制送還を免れる可能性があるということがわかります。
それもそのはずです。というのは入国したばかりの難民などを集めておくのが出島だとしたら、その難民の人たちは入国当初は色相が濁っている可能性があるからです。
おそらく難民たちは出島でケアを受け、本土に入国できるような色相・サイコパス数値になれば、国籍をもらえたり入国を許可してもらえるというシステムなのでしょう。
ⅲ. 「出島」を使った武器の輸出
それから出島で大事なポイントとして、武器の密輸に関わっているらしい点が挙げられます。
5・6話で、テレーザや久利須が借りていた貸倉庫やアウマ商人が守った倉庫、ヘブンズリープの本部などに武器の部品が保管されていることが明らかになりました。
おそらくその部品が出島を通して海外に輸出されているのでしょうが、これは重要なポイントのように思われます。
というのはここらへんが外務省がヘブンズリープに絡んでいる理由だと考えられるからです。
ⅳ. 「変な壊れ方する」?
「流通は海外です。高品質な日本製のパーツが紛争地帯でバカ売れしているって話が。でも確か、変な壊れ方するとかしないとか……」
(『PSYCHO-PASS3』第6話より)
6話で灼と入江執行官が聴取をした武器商人は上のように述べていました。
気になるのは「変な壊れ方するとかしないとか」という部分です。メタ的に考えれば意味もなくこんなセリフは入れないと思うので、おそらくその武器は「変な壊れ方」をするのでしょう。
「変な壊れ方」がどのような壊れ方なのかはまだわかりませんが、「変な壊れ方」をするとしてら、その部品がそれを使った側に支障をきたすのは確かでしょう。
したがって単純に、その部品によって戦闘が混乱することが想定されます。
もちろん部品一つで紛争の流れを大きく変えたりするのは難しいかもしれませんが、ここらへんに日本が世界の紛争に干渉していることの示唆があるようには思えます。
ⅴ. 「ピースブレイカー」の原点も日本にあるのか?
以上のことに関連して、6話で「ピースブレイカー」の名前が出てきたのも示唆に富んでいるように思いました。
「ピースブレイカー」は(私の記憶では)劇場版SSのcase.3で初登場した単語ですが、まだ詳細はわかっていません。
劇場版の文脈的には、「ピースブレイカー」=「紛争に関して裏で糸を引いている団体・組織」のような感じでしたが、具体的なことはわかりません。
ただ劇場版で日本の外務省所属の花城が調査していたということはやはり「ピースブレイカー」は日本に深く関与しているのではないかという疑念は浮かびます。
そして今回6話で「ピースブレイカー」の名前が出たことでその疑いは深まりました。
また、3rdインスペクターであるトーリ・アッシェンバッハからその名前が出たということは、前回の記事でも述べたように「ピースブレイカー」への「ビフロスト」の関与も疑われます。*2
もしそこにも関連があるとするなら、「ピースブレイカー」はいずれにしても日本に原点を持っているので、そこへ武器を流しているかもしれないヘブンズリープを外務省がマークするのも必然だと言えるでしょう。
ⅵ. ピースブレイカーの「生き残り」?
それから「ピースブレイカーの生き残りを使うのか?」という言い回しも少し気になりました。
「生き残り」と言うからには、当然「ピースブレイカー」には生き残らなかった人もいるはずです。
「3」の時間軸は劇場版SSから3年が経った後ですから(case.3が2117年11月、「3」は2020年)、その間に外務省などによって「ピースブレイカー」は大幅に戦力を削られたのかもしれません。
ただ空白の3年間に関しては次回作に持ち越しだと考えられます。
Ⅴ. 残る伏線は……
今回は「ビフロスト」・「エターナルホワイト」・「出島」について簡単にまとめ、考察しました。
冒頭でも述べましたが残り2話ですべての伏線を回収するのは難しいですし、制作側としても最初から話を広げるつもりでこのような作りにしているのでしょう。
一応残る主な伏線をざっと挙げておくと以下のようになるかと思います。
- 常守朱幽閉の真相
- 局長交代についての真相
- 慎導篤志の謎(なぜ自殺したか?)
- 炯の兄=煌(あきら)殺害の謎(本当に慎導篤志に殺されたのか?)
- 「ビフロスト」・「インスペクター」の謎
- 如月執行官の赤い彼岸花
細かく挙げるときりがないのですが、ざっくり挙げるとこんな感じでしょうか……。
常守や慎導篤志、煌殺害の真相あたりは一気に回収できる気もしますが、「3」のテレビシリーズでは難しいかもしれません……。
劇場版SSから「3」までの空白の3年間は映画とかになるかもしれませんね……(というかなんとなく私の想像の中では映画があってる気がしているだけですね)。
とにかく、今は目先の7話、そして最終話を楽しみにしています。
というか楽しみ、とは言えないですね、6話の引き的に……
覚悟してみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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