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ダリフラ本編考察③「生物」というテーマの反映

 

「生物」というテーマの反映

前回のダリフラ本編考察②では、「ラマルククラブ」という用語から、『ダリフラ』では「生物」がテーマとなっているということを確認するとともに、「ラマルククラブ」から考えられる可能性について考察しました。

 

今回はそんな『ダリフラ』のテーマである「生物」が、本編のどのようなところから読み取れるのかどのようなところで反映されているのか、ということを見ていきたいと思います。

 

 

①ハチミツ、フランクスの名の由来、ステイメン・ピスティル

第2話「繋がるということ」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

これについてはすでにダリフラ本編考察①で述べた通りです。

 

あえて付け加えるならば、なぜフランクスの名の由来を単なる植物名ではなく、「属名」あるいは「種名」といった分類名にしたのかという点には注目する価値があります。

 

そもそも植物の学名を「属」「種」を組み合わせて名付けるという単純な二命名法を本格的採用したのはカール・フォン・リンネ(1707~1778)だと言われています。

 

二命名法の例を挙げるならば、(植物ではありませんが、)「ヒト」は "Homo" という属名と "sapiens" という種名を組み合わせて "Homo sapiens" という学名になっています。

 

そして、ラマルク(1744~1829)もこの二命名法を採用しています。

 

以上のような背景を鑑みれば、「ラマルク」という用語を用い、「生物」にこだわりを見せる『ダリフラ』が属名と種名をあえて取り入れるということにも納得がいくような気がします。

 

さらに「属名」は「フランクス」の名の由来以外にも登場しています。

 

②第13プランテーション『セラスス』=「日本」?<追記>×「日本」→〇「東京」?

第13プランテーション『セラスス』

第1話「独りとヒトリ」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

『セラスス』とは、主人公たちの所属する第13部隊が配属されているプランテーション*1のことです。

 

この『セラスス』というのは "Cerasus" つまり「サクラ属」のことだと考えられます。

 

"Cerasus" という語の英語発音は日本語表記で「セラスス」と書けます。

 

ただし一般的に学名で用いられるラテン語の発音では、 "Cerasus" は「チェラソス」あるいは「ケラスス」のような表記に近くなります。

 

そこで『セラスス』= "Cerasus" というのは甘い読みだとも考えたのですが、先日こんなツイートを見かけました。

この方がおっしゃっている通り、第1話冒頭の鳥はその色や模様、鳴き声からも間違いなくセグロセキレイだと考えられます。

 

ここで注目したいのはセグロセキレイの生息域です。

 

現実世界のセグロセキレイはほとんど日本にしか生息していません。

 

ここで考えられるのは、第13プランテーション『セラスス』は「日本」がモデルになっているのではないかということです。

 

一般に、日本の国花は菊とだとされています。

 

プランテーション内の自然は人工のものかもしれませんが、"Cerasus"サクラ属であるならば、その名を冠したプランテーション内に日本の固有種とも言えるセグロセキレイが生息していることには一貫性が生まれます。

 

また元も子もないようなことですが、ヒロたち登場人物が話しているのは日本語です。

 

もちろん『ダリフラ』では地上が荒廃しているので元の姿のような日本ではありませんが、第13プランテーションは「日本」に準ずる都市であると考えられます

 

この仮説は近々第13プランテーションとキッシング( =kissing? )すると本編で言われていた第26プランテーションの詳細が明らかになれば、さらに検証できるでしょう。

 

また、すでに「サクラ」は第1話冒頭に登場しています。

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第1話「独りとヒトリ」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

この画像にうつっている後ろ姿の2人が誰なのか、ということも大変気になることではありますが、『ダリフラ』ですでに「サクラ」が意識されているということは確かです。

 

以上のようにプランテーションに関することからも「生物」というテーマは読み取れます。

 

<追記>

私の考察を読んでくださった方がTwitterでこのようなことをおっしゃっていました。

非常に鋭い指摘に感服いたします。

 

私も全面的にこの考察を支持したいと存じます。

 

またこのようなご指摘をいただいたことに改めて感謝いたします。

 

ありがとうございました。

 

 

③「コドモ」の謎と「染色体」のモチーフ

「コドモ」の謎

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「ダーリン・イン・ザ・フランキス」OP映像より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

 また『ダリフラ』世界の大きな謎の1つとなっているのが「コドモ」にまつわる謎です。

 

複数の「オトナ」を「パパ」と呼んでいることやパラサイトのナンバリングなどから「コドモ」、その中でも特に「パラサイト」はある程度人工的な操作で生み出されたということが予測されます。

 

現実世界の倫理観ではまず是認されないような『ダリフラ』世界の支配体制からすると、生命倫理学で議論されるような遺伝子の人工的な操作の問題、例えば「デザイナーベイビー」などが肯定されていてもおかしくはありません。

 

これについても、本編が進まなければ推測の域はでないのですが、そこに「遺伝子」という「生物」にまつわるテーマが読み取れることはたしかです。

 

「染色体」のモチーフ

また「遺伝子」を連想させるモチーフは、「コドモ」のほかにも、すでに『ダリフラ』で多数見受けられます。

 

その最たるものが「X」です。

 

この「X」には、ダリフラの「生物」以外の大きなテーマに関する「キス」もかかっているのでしょうが、「生物」の文脈ではこの「X」染色体を表しているとみて間違いないでしょう。

 

同じような連想をした方はたくさんいらっしゃると思いますが、ヒトの性染色体と言えばX染色体とY染色体です

 

ヒトを含む雄ヘテロXY型では一般に、メスはXX個体オスはXY個体です。

 

パラサイトであるヒロたちの制服のデザインもこれに呼応しています。

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第1話「独りとヒトリ」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

画像を見ていただくとわかる通り、首元の赤い部分が女であるイチゴはX型男であるゴローはY型になっています。

 

また、入隊式で全員がX型の模様がついたマントをつけているのもXX個体XY個体の象徴でしょう。

『ダリフラ』の根源的テーマとしては直感的に「男女」が浮かびますが、本編の方向性によってはその「男女」というカテゴリは破壊される可能性もあり、「叫竜」の存在も総括できる「生物」という語の方がより根底にあると考えられます。

 

そしてそのような意味では「叫竜」「生物」というテーマの現れだと捉えられます。

 

④叫竜の謎

第1話「独りとヒトリ」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

叫竜の最大の謎はその出生にあります。

 

漫画版では「突如として現れ 次々に都市を襲撃し始めた」などと言われていましたが、ツッコミどころ満載です。

 

例えばの話ですが、前回言及したように博物学者ラマルクは「生物は無生物から親なしで生まれることがある」という自然発生説を信じていたと言われていますが、叫竜自然発生したのでしょうか。

 

また、実は叫竜が人工物であると考えることもできますが、これについては全く根拠のない憶測に過ぎません。

 

叫竜の出生の謎については、やはり今後の展開を見なければ何とも言えないでしょう。

 

もちろん出生の謎のほかにも

  • 叫竜の血液(?)が青であること
  • フランクス操縦時にピスティルの頭部に角のようなものが発生すること
  • ゼロツーが叫竜と混血であること
  • 叫竜がマグマエネルギーを求めてたかっていたこと

などはたいへん考察しがいのある事実です。

 

また、第1話で登場した叫竜が「モホロビチッチ級」と呼ばれていたことからは、叫竜は人類がマグマエネルギーを採掘する過程で生じてきた生物だという想像はできます。

 

ちなみに、「モホロビチッチ」とは「モホロビチッチの不連続面」の由来として有名な地震学者の名前です。

 

もし「モホロビチッチ級」という用語が叫竜の強さを測る尺度ならば、それ以外の境界面名である「コンラッド級」「グーテンベルク級」「レーマン級」などの叫竜の出現も考えられます。

 

とにもかくにも、「叫竜」が『ダリフラ』のストーリーで大きな役割を果たしていることは確かです。

 

この「叫竜」も『ダリフラ』の「生物」というテーマの現れだと言っていいでしょう。

 

 

どう展開してゆくのか

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「ダーリン・イン・ザ・フランキス」OP映像より引用 ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

以上のように『ダリフラ』ではすでに様々な部分で「生物」というテーマが反映されています。

 

おそらく他にも「生物」に関するモチーフが『ダリフラ』の諸所で見受けられると思われます。

 

何か筆者が見落としている発見があれば、コメントなどでぜひ教えていただきたいです。

 

このような「生物」にまつわるモチーフももちろん興味深いことなのですが、筆者はそれより今後『ダリフラ』がどう展開してゆくのかということの方に関心があります。

 

「生物」というテーマについてもそうですが、優秀なスタッフが総結集しているということもあり、『ダリフラ』はものすごく丁寧に作りこまれています。

 

それほどの熱の入れようだからこそ、『ダリフラ』には期待せざるを得ません。

 

前回考察した「ラマルク」も、そう単純な理由から舞台設定に組み込んだものとは考え難いのです。

 

画面の左下に、わざわざご丁寧に「ラマルククラブ」と書いてあるということは、制作側にはそこから視聴者に何か汲み取られる覚悟があるということに他なりません。

 

単純な思考は裏切ってほしいという気持ちもあります。

 

だからこそ "APE" は単なる「ネオラマルキズム」の焼き直しではなく、『ダリフラ』全体が新たな「生物学」の思考実験の体現であってほしいとも願ってしまいます。

 

もちろん、丹念に作られているのは「話」だけにとどまりません。

 

アニメは総合芸術です。

 

『ダリフラ』は「話」だけでなく、絵、音、動画、その他すべてを総合したアニメーションとしてアニメ史に名を残すことになるでしょう。

 

私もこの並々ならぬ情熱で作られた『ダリフラ』という「アニメーション」に、拙筆ではありますが「考察」という形で寄り添っていければ良いなと思います。

 

また『ダリフラ』を考察するにあたって、めめんと森(@Franxx_xy)さんには大変お世話になっておりますので、この場を借りてお礼申し上げます。(特に今回の制服にXYが組み込まれているというのはめめんと森さんのアイデアです。)

 

もちろん、毎回拙文を読んでくださっている読者の方々にも感謝の意を表します。

 

微力ながらも、『ダリフラ』が愉しみになるお手伝いができたならば幸いです。

 

それではまた次回、お会いしましょう!

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※本ページの情報は2019年2月時点のものです。最新の配信状況は U-NEXT
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