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ダリフラ本編考察⑪「永遠」の街

罹患部の一致

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第5話「キミの棘、ボクのしるし」、第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

青い血管が巣食ったのも、黄色い装置が取り付けられていたのも、同じ心臓部でした。

どうにも偶然には思えません。

第10話ではダリフラの謎の手掛かりと思われるものが数多く提示されましたが、今回はこの心臓部の謎に注目して考察していきたいと思います。

 

 

黄色い「心臓」の交換

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第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

第10話終盤、ゾロメがオトナたちに引き渡されている場面で、オトナの女性は黄色い「心臓」の交換品を渡されています。

ゾロメという「細菌保持者」が部屋へ入った後に渡したというタイミングを考えると、この黄色い「心臓」には細菌に対する抗体が含まれているのではないかと考えることができます。

そしてその細菌に対する抗体とは、「黄血球」なのではないでしょうか。

一見突拍子もない仮説ですが、これまでの考察や第10話で示された手掛かりをもとに考えていくと、一貫性のある論が見えてきます。

 

不自然な容姿

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第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

まず注目したいのが第10話のオトナの女性の容姿です。

目元や額にはしわがより、髪はきれいに白一色に染まっていますが、四肢は細長く、腰が曲がっている様子もありません。

ここには矛盾が感じられます。

つまり一見年老いた風でありながら、若い肉体でもあるわけです。

ここで思い出されるのが、「老化兆候」です。

 

老化兆候と黄血球

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『ダーリン・イン・ザ・フランキス』( 漫画/矢吹健太朗 原作/Code:000) より引用© SHUEISHA Inc.

「老化兆候」はゼロツーとストレリチアに同情したステイメンに共通して見られる減少でしたが、ヒロだけが例外となっていました

以前の考察ではこれについて、第5話でヒロの黄血球数の急激な増加を見たハチが「ゼロツーと乗ったほかのパラサイトたちとは正反対の反応だ」と言っていたことから、黄血球数の減少は老化につながり、黄血球数の増加は老化防止につながるのではないかということを述べました。

この黄血球による作用と同様の現象が第10話のオトナの女性にも起こっているのではないでしょうか。

つまり、オトナの女性は抗体として黄血球を体内に流すことによって、その体を老化を防止したのではないかと考えられるのです。

 

オトナの女性は若返った?

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第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

オトナの女性が黄血球により体の老化を防止したと考えると、容姿の矛盾に説明がつきます。

以前の考察で、ハチミツとの類似から黄血球は抗酸化物質を運搬しているのではないかという仮説を立てましたが、この仮説が正しいならば、活性酸素による細胞の老化は防ぐことができます

逆に考えれば、活性酸素以外で起こる現象、例えばメラサイトという色素細胞が時とともに減少していくことで起こりうる*1白髪は防ぐことができません

「しわ」も活性酸素以外で起こりうる現象と見ることもできますが、しかしやはり「しわ」は活性酸素による細胞の老化で起こることが圧倒的に多いです。

そのことを考えると、むしろオトナの女性は、もともと老婆のような容姿だったのにもかかわらず、黄血球を恒常的に摂取することによって若返ったと見ることもできるかもしれません。

加えて、一度メラニンを生成しなくなったメラサイトが日の当たらない環境下で再びメラニンを生成し始めることは困難かもしれないということを考えると、やはりこのオトナの女性は若返ったと考える方が自然です

 

永遠の街

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第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

しかし話は若返ったどころでは済まないのかもしれません

第10話のサブタイトルである「永遠の街」やゼロツーの「死んだような街」「そのままの意味だよ」というセリフを考えると、オトナたちは半永久的生きられるのではないかとも考えられます。

黄血球の抗酸化作用の程度にもよりますが、もしも本当に黄血球が老化を防ぐのならば、たしかにオトナたちがいわゆる不老不死のような形で生き続けることも不可能ではないかもしれません

 

「万能なエネルギー源」

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第10話「永遠の街」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会

以上のように考えれば、オトナの容姿の矛盾<細菌>「永遠の街」・「死んだような街」という一連の謎を貫く論が一応は完成します。

しかしもしも黄血球が<細菌>の抗体にもなっているのならば、それはあまりにも都合がよすぎるのではないでしょうか。

そもそも「黄血球」に関する公式サイトの説明は以下の通りです。

黄血球

コドモたちの血液中に含まれる成分で、パラサイトとしてフランクスとコネクトすることを可能にしている化学物質。

したがって「黄血球」と言えばそれはコドモに備わっているものであり、パラサイトとフランクスをつなぐ物質であるわけです。

ただ一方で「マグマ燃料」の説明は以下のようになっています。

マグマ燃料

地下から採掘されるクリーンかつ万能なエネルギー源で、人類の科学技術文明の産物を支えている。

注目したいのは「クリーンかつ万能」という一節です。

ここから言えるのは、「クリーン」であるからには<細菌>は「マグマ燃料」から発生したものではなく、また、「万能」であるからにはそこから<細菌>に対する「抗体」が生成されてもおかしくはないと言うことです。

「クリーンかつ万能」というからにはそこに必ず意味があるでしょう。

 

 

<細菌>について……

今回は本当は<細菌>について深く掘り下げる予定でした。

しかし構成まで決めて一度書いてみたものの、自分の中で十分納得できるようなものにならなかったので、今回はこのような仮説でご容赦いただきたく存じます……。

もしできることならば、今週はその<細菌>についての記事も、第11話後の記事にあわせてあげたいと思います。

第11話がどうなったか不安にかられながら……

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

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*1:諸説あります