野の百合、空の鳥

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【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』最終回「輪るピングドラム」とは何か【24話】

はじめに 私は運命って言葉が好き。 (『輪るピングドラム』24th stationより) たった一言がこんなにも重い。 「運命」を呪い、そして「運命」に呪われた「何者にもなれない」子どもたち。その「選ばれなかった」子どもたちが、ようやく「運命」を受け入れ…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』①「苹果」とは何か【1~3話】

Ⅰ. はじめに 「僕は運命って言葉が嫌いだ」 (『輪るピングドラム』1st stationより) 「ゼロから見直す『輪るピングドラム』」は、『輪るピングドラム』をもう一度、ゼロから、じっくりと見て考察していこうという試みだ。したがって本企画では、「苹果(リ…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑬こどもブロイラーとは何か——透明な存在の不透明な内実【17-18話】

0.0. こどもブロイラーとは何か——設定上の回答—— こどもブロイラー(『輪るピングドラム』18th station, ピングループ・MBS, 2011年) 「ここはこどもブロイラーだよ」 「こどもブロイラー?」 「いらない子どもたちが集められる場所」 […] 「ここで僕らは…

ダリフラ本編考察最終回「人間らしさ」

ダリフラ総まとめ 第24話「わたしを離さないで」より ©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会 ダリフラ最終回より2週間が経ちました。 いろいろと書きたいこともあるのですが、感想などを述べる前に、まずは最終回自体の考察、そして『ダリフラ』全話を…

【俺ガイル完 11話】考察・解説「待つ」ということ【前編】

Ⅰ. はじめに 「待たなくていい」と言われ、驚くような表情を見せる由比ヶ浜(『俺ガイル完』11話, 渡航, 小学館, やはりこの制作委員会はまちがっている。完, TBS, 2020) 率直に言って、11話も疑問の連続であった。 公園で八幡が「お前はそれをまたなくてい…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』②「蠍の火」とは何か【1~3話】

Ⅳ. 「蠍の火」とは何か ⅰ. 『銀河鉄道の夜』における「蠍の火」 Ⅴ. 「子供」は『銀河鉄道の夜』をどう解釈したのか ⅰ. 「愛の話」 ⅱ. 自己犠牲を伴うほどの「愛」は「さいわい」なのか? Ⅵ.「苹果」と「蠍の火」に残された解釈の余地 ⅰ. 『ピンドラ』という…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑥村上春樹の影響──『かえるくん、東京を救う』を中心に──【7~9話】

1.0. 『ピンドラ』と村上春樹のつながり 本棚に並ぶ「カエルくん~を救う」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 陽毬「あの、『かえるくん、東京を救う』って本はどこにありますか?」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より)…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑦物語にできることは ――「地下」・「状況」・「コミットメント」――【7~9話】

はじめに 「地下」という場所 前回から引き続き、『ピンドラ』と村上春樹(作品)との関連について、今回はとりわけ「地下」というテーマを中心に据え、考察する。 村上春樹は「地下」について以下のように述べている。 アンダーグラウンド (講談社文庫) 作…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑨「嫌だわ、早くすり潰さないと」の意味——「愛」編——【11話】

はじめに 今回はとりわけ真砂子の「愛」についてのセリフを検討したい。 というのは、それが真砂子の「愛」について語る数少ない機会だから、という理由もあるのだが、それよりも、『ピンドラ』が「愛」の物語であるからには、そのセリフは『ピンドラ』全体…

【俺ガイル完 12話】考察・解説「終わったのなら、また始めればいいじゃない」

Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』は最終回を迎え、完結した。 当然、いくらかの疑問が残った。例えば、以下のような疑問だ。 奉仕部の「鍵」を渡した意味とは? 以前掛けていなかった眼鏡を掛けたことが意味す…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑪「タワー」と「呪い」——時籠ゆりについて——【14~15話】

はじめに——「嘘つき姫」—— 14-15話は、主に時籠ゆりの話になっている。 とりわけ15話は、ゆりの過去が明らかになるとともに、桃果のもつ「運命の乗り換え」の能力とその代償の説明となっているという点で重要である。 そのほかにも細かい伏線はあるのだが、…

『俺ガイル』9巻 考察・解説 だから「本物」を求め続ける

Ⅰ. 「欲しいものがあったから」 欲しいものがあったから。 たぶん、昔からそれだけが欲しくてそれ以外はいらなくて、それ以外のものを憎んですらいた。だけど一向に手に入らないから、そんあものは存在しないとそう思っていた。*1 つまるところ9巻は、八幡が…

【俺ガイル完 10話】考察・解説 「代償行為」と「偽物/欺瞞」

Ⅰ. はじめに 「……だって、あの子の願いは、ただの代償行為でしかないんだから」 (⑭287頁)*1 「代償行為」。その言葉に八幡は穿たれる。彼はそこで、また前と同じあやまちを、否、「今までよりなお悪い」あやまちを犯していると気づく*2。 では「代償行為」…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑤「そらの孔分室」とは何か【7~9話】

1.0. そらの孔分室 「そらの孔分室」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 「ようこそ、中央図書館そらの孔分室へ」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より) 水族館の長いエレベーターを降りると図書館であった。図書館の奥に…

『俺ガイル』8巻 考察・解説「こうして、比企谷八幡はまちがえる」

Ⅰ. 「まちがい」 自分が何かまちがえたのではないかという、その疑念だけが残った。 (渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。⑧』p.334より) 『俺ガイル』8巻のキーワードは「まちがい」だ。 7巻では「大事だから、失いたくないから」、だから「変…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑩メリーさんの羊とは?【12~13話】

はじめに. 「メリーさんの羊」を中心に…… 12~13話で起こった出来事をまとめるのは簡単だ。つまり、陽毬がまた倒れて、眞悧がそれを助けた。それだけだ。 しかしながら、12~13話には、起こった出来事としてまとめられないエッセンス——それも非常に重要なエ…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑭「きっと何者にもなれない」とはどういうことか【19-20話】

はじめに 19-20話は、陽毬の過去編がメインの話となっている。 だが例のごとく、過去編というよりは、そこで語られている内実のほうが重要である。とくに、19-20話では「選ばれない」「きっと何者にもなれない」「氷の世界」「生存戦略」「運命の果実をいっ…

【俺ガイル完 4話】考察・解説 「共依存」とは何か ――「本物」との距離――

共依存は『俺ガイル完』において非常に重要なテーマだ。 しかし共依存という言葉はいかんせんわかりにくい。その言葉自体は聞いたことがあるが、内実を説明するのは容易ではない。 今回はその共依存という言葉から出発して、4話を中心に俺ガイルの核心に迫っ…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』④「氷の世界」とは何か【7~9話】

1.0. 「氷の世界」 「氷の世界」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 『ピンドラ』第9駅のサブタイトルは「氷の世界」である。 しかしなぜ「氷の世界」なのだろうか? 第9駅は、べつに氷のある場所に行く話ではないし、「氷の世界」と…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑫「嫌だわ、早くすり潰さないと」の意味――「罪」編――【16話】

はじめに ——ピンドラをあらためて整理してみる—— ピンドラは桃果(モモカ)と眞悧(サネトシ)の代理戦争だ、とまとめてみることは、――とりわけ初見の人に——図式的な理解を与えるのには有効であろう。 つまり、桃果の意志を引き継いで「ピングドラム」を探そ…

『空の境界』考察「ハーゲンダッツ」という道具立てのうまさ

幹也「ストロベリー。ハーゲンダッツだよ。ほら、この前買ったやつは食べなかっただろう」 式 「イチゴがオレのイメージなのか?」 幹也「革ジャンとか。それにイチゴってバラ科の植物なんだよ。意外だろう。イチゴはかわいいなんてみんな思ってるけど、バラ…

【俺ガイル考察】ようやく彼ら彼女らはお互いを「知る」【1~6巻まとめ】<後編>

<前編はこちら ↓> <前編>では、「知る」ということについて、特に八幡と由比ヶ浜の関係から、彼らが互いをどのように「知って」いったのかを見てきた。 <後編>においては、さらに八幡と雪乃の関係から「知る」ということを見つめ、『俺ガイル』第1章で…

『PSYCHO-PASS 3』5・6話 感想・考察 ビフロストの椅子/エターナルホワイト/出島

※こちらはアニメ第3期放映時にリアルタイムで作成した記事です。その後の展開や明らかになった設定と食い違う点や推測を多分に含みます。記事を鵜呑みにせず、最新の情報をご確認ください。非公開にすることも考えましたが、いまだ活かせる情報もあるように…

『PSYCHO-PASS 3』7話 感想・考察 「神の名をみだりに唱えてはならない」

※こちらはアニメ第3期放映時にリアルタイムで作成した記事です。その後の展開や明らかになった設定と食い違う点や推測を多分に含みます。記事を鵜呑みにせず、最新の情報をご確認ください。非公開にすることも考えましたが、いまだ活かせる情報もあるように…

終わりなき俺ガイル ――来るべき読解のために――

0.0. はじめに 本稿では、主に筆者による俺ガイル最終回考察に註釈を加えながら、これからの俺ガイル読解の指針を示してゆく。そのためまず筆者による俺ガイル最終回を(少なくとも「Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。」と「∞. おわりに ――これはおわりではない…

【俺ガイル10巻】考察・解説 「そうして、道化は見抜かれる」

本記事では俺ガイル10巻について考察・解説を行う。 俺ガイル10巻については、主に以下のような点が論点になると考えられる。 「手記」とは何なのか?何のためにあるのか? 陽乃の「見つけてくれることを、かな」というセリフはどういう意味か? なぜ葉山隼…

【俺ガイル完 2話】考察・解説「鍵」に「触れたことがない」ことの意味

Ⅰ. 「今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。」 完2話サブタイトル(『俺ガイル完』2話, 渡航, 小学館, やはりこの制作委員会はまちがっている。完, TBS, 2020) 2話のサブタイトルは「今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。」だ。 このサブ…

【俺ガイル完 11話】考察・解説「言葉」という「パルマコン」【後編】

【前編】 Ⅴ. 雪ノ下雪乃との関係 ⅰ. 回りくどいやり方 ⅱ. 「そういう方法」 ⅲ. 建前 ⅳ. 「感情」は言わない ⅴ. 言葉への批判意識 ⅵ. 「言葉」という「殺害行為」 ⅶ. 「言葉」という「パルマコン」 Ⅵ. 【追記9/20】由比ヶ浜との場面と雪乃との場面の比較 ⅰ. …

【劇場版ピンドラ後編 感想】「きっと何者かになれる」

※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編+後編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的には、劇場版…

【劇場版ピンドラ前編 感想】「きっと何者にもなれないお前たち」から「きっと何者かになれるお前たち」へ

※ネタバレ注意。本記事は劇場版ピンドラ前編のネタバレ、およびアニメ放映版本編のネタバレを含みます。 ※また、筆者は一度しか劇場版を見ておらず、記憶だけを頼りに書いているため、本編と齟齬をきたしている可能性があります。 ※基本的にはアニメシリーズ…