野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』⑤「そらの孔分室」とは何か【7~9話】

1.0. そらの孔分室 「そらの孔分室」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 「ようこそ、中央図書館そらの孔分室へ」 (『輪るピングドラム』第9駅「氷の世界」より) 水族館の長いエレベーターを降りると図書館であった。図書館の奥に…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』④「氷の世界」とは何か【7~9話】

1.0. 「氷の世界」 「氷の世界」(『輪るピングドラム』第9駅、ピングループ・MBS、2011年) 『ピンドラ』第9駅のサブタイトルは「氷の世界」である。 しかしなぜ「氷の世界」なのだろうか? 第9駅は、べつに氷のある場所に行く話ではないし、「氷の世界」と…

【ピンドラ 考察】ゼロから見直す『輪るピングドラム』③カレーを食べるとはどういうことか?【4~6話】

1.0. どうしてカレーを食べるのか? 『ピンドラ』のカレー(『輪るピングドラム』第3駅、ピングループ・MBS、2011年) どうして『ピンドラ』ではカレーを食べるのだろう? 『ピンドラ』には、やたらとカレーが出てくる。第3話のサブタイトルは「そして私を華…

【ファイアパンチ考察】どうして人は死ぬと映画館に行くのか?

0.0. 死んだら映画館に行く? 人は死んだら映画館に行く(藤本タツキ『ファイアパンチ』第4巻 第35話より, 集英社, 2017) 人は死んだら映画館に行く。『ファイアパンチ』では、そういうことになっている。 実際、47話で死にかけたアグニは映画館に行くし、…

2020年をふりかえって

0.0. はじめに 0.1. 「絶望」 「私は絶望している」と書きつけたとしましょう。 次の瞬間、私は吹き出してしまいます。というのは、そこに書きつけられた「絶望」が、私が感じている当の絶望からあまりにもかけ離れているからです。 そこに刻まれた「絶望」…

終わりなき俺ガイル ――来るべき読解のために――

0.0. はじめに 本稿では、主に筆者による俺ガイル最終回考察に註釈を加えながら、これからの俺ガイル読解の指針を示してゆく。そのためまず筆者による俺ガイル最終回を(少なくとも「Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。」と「∞. おわりに ――これはおわりではない…

【俺ガイル完 12話】考察・解説「終わったのなら、また始めればいいじゃない」

Ⅰ. 『俺ガイル完』は完結した。 『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』は最終回を迎え、完結した。 当然、いくらかの疑問が残った。例えば、以下のような疑問だ。 奉仕部の「鍵」を渡した意味とは? 以前掛けていなかった眼鏡を掛けたことが意味す…

【俺ガイル完 11話】考察・解説「言葉」という「パルマコン」【後編】

【前編】 Ⅴ. 雪ノ下雪乃との関係 ⅰ. 回りくどいやり方 ⅱ. 「そういう方法」 ⅲ. 建前 ⅳ. 「感情」は言わない ⅴ. 言葉への批判意識 ⅵ. 「言葉」という「殺害行為」 ⅶ. 「言葉」という「パルマコン」 Ⅵ. 【追記9/20】由比ヶ浜との場面と雪乃との場面の比較 ⅰ. …