野の百合、空の鳥

アニメ・漫画・文学を「読む」

【俺ガイル完 5話】考察・解説 八幡の「責任=応答可能性」について

今回は「責任」について考える。「責任」について考えてゆくと八幡がここですでに「まちがい」を犯していることがわかり、さらに掘り下げると「責任」が俺ガイルの構造上必然的な問題であることがわかるだろう。

【俺ガイル完 4話】考察・解説 「共依存」とは何か ――「本物」との距離――

共依存は『俺ガイル完』において非常に重要なテーマだ。 しかし共依存という言葉はいかんせんわかりにくい。その言葉自体は聞いたことがあるが、内実を説明するのは容易ではない。 今回はその共依存という言葉から出発して、4話を中心に俺ガイルの核心に迫っ…

【俺ガイル完 3話】考察・解説 一色いろはが「小悪魔」の奥に秘めたもの

「はい……、気を付けます」。そう言って一色いろはは珍しく落ち込んだ表情を見せる。 かと思えば、次の瞬間には「ですよね!」と満面の笑みで冗談めかす。しかし今度ばかりは本当に反省しているのか、「冗談です。……ちょっとマジで気を引き締めます」と真面目…

【俺ガイル完 2話】考察・解説「鍵」に「触れたことがない」ことの意味

Ⅰ. 「今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。」 完2話サブタイトル(『俺ガイル完』2話, 渡航, 小学館, やはりこの制作委員会はまちがっている。完, TBS, 2020) 2話のサブタイトルは「今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。」だ。 このサブ…

【俺ガイル完 1話】考察・解説「諦める」ことの意味

Ⅰ. 雪解け 俺ガイル完OPには、結末が「雪」ではなく「雨」であることを望む趣旨の詩がある。 これはもちろん、物理的な雪解けも意味しているが、同時に雪乃の問題がほどけてゆくこと、ひいては奉仕部の問題が解消していくことを暗示している。 だからOP映像…

【俺ガイル11巻】考察・解説「だから違和感について考え続ける」

Ⅰ. はじめに ⅰ. 「違和感」を考え続ける物語 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫) 「あー、なんか違和感っていうか」 言葉にしてみると、それは案外すっきり腑に落ちた。 ずっとついて回っていたものだ。 ふとした瞬間に意識してしまう…

【俺ガイル10巻】考察・解説 「そうして、道化は見抜かれる」

本記事では俺ガイル10巻について考察・解説を行う。 俺ガイル10巻については、主に以下のような点が論点になると考えられる。 「手記」とは何なのか?何のためにあるのか? 陽乃の「見つけてくれることを、かな」というセリフはどういう意味か? なぜ葉山隼…

【チェンソーマン考察】『1984』(ジョージ・オーウェル)との関連について

本記事では、『チェンソーマン』において銃の悪魔が出現した「1984年」という年(この年号が浮かび上がった経緯については後述)が意図的なものであると仮定した上で、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』と『チェンソーマン』との関連を考える。 具体的に…